「私はPB至上主義ではありません」
今回の骨太の方針で、新たに債務残高のGDP比の「安定的な引き下げを目指す」という目標を盛り込んだのは、安倍首相が2017年の通常国会の施政方針演説で、PBに言及せず、3月の参院予算委員会で「私はPB至上主義ではありません」と述べたことの延長上にある。
こうした安倍政権の姿勢を、全国紙は一斉に社説(産経は主張)で論じたが、押し並べて政府の財政健全化への姿勢の後退への懸念が強いなかで、読売だけは安倍政権への批判を抑制したのが目立った。
まず、読売以外の4紙は、「新目標が財政健全化の先送りにつながるようなことはあってはならない」(日経6月11日)、「懸念されるのは、新たな目標を置いたことにより、PB黒字化で借金依存からの脱却を図る作業が失速しないかだ」(産経6月13日)などと、政府の狙いへの警戒心を表明。毎日(6月7日)は「首相のブレーンの中には、基礎的財政収支の黒字化棚上げと消費増税再々延期を求める意見がある。今回がその布石との見方も出ている」と指摘する。
借金のGDP比率は低下傾向で、高めの成長なら低下し続け、小幅なプラス成長でも当面は横ばいと見込まれるが、各紙が新目標を懸念するのは、「日銀の金融緩和に伴う超低金利に支えられていることを忘れてはならない。いったん金利が上がれば債務残高は簡単に膨らむ」(朝日)からだ。