「もっと儲けさせろ!」 みずほFG株、メガバンク最低に湧き起こる株主の怒り

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   経営不振に陥っている東芝、経営破たんしたタカタはもちろん、不正会計などの問題を引き起こした企業のような「荒れる」株主総会が年々減るなか、みずほフィナンシャルグループ(FG)の定時株主総会で、経営陣に緊張が走った場面があった。

   質疑応答に立った、ある初老の男性株主が、佐藤康博社長・グループCEOに、株価低迷を理由に「辞めろ!」と迫った。その株主は終始落ち着き、穏やかな口調だったものの、辛らつな言葉を投げ続けた。

  • みずほFGの株主総会、株主の怒りふつふつ……
    みずほFGの株主総会、株主の怒りふつふつ……
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食い下がる株主が漏らした「あなた、そろそろ......」

   2017年6月23日、東京・有楽町の国際フォーラムで開かれた、みずほFGの第15期定時株主総会に、佐藤康弘社長・グループCEOは紺色のスーツに、株主総会や新入行員を迎える入行式など「ここぞ」というときに決まって着ける、赤い「勝負」ネクタイで登壇した。

   出席した2523人の株主を前に、佐藤社長は事業報告を説明したほか、議案を順調に消化。ほどなく質疑応答に入った。

   会場がわずかにざわついたのは、8人目に質問に立った男性株主が、「株価」について質したときだった。「株価を上げる、具体的な方針を聞かせてほしい」と聞いた株主。

   佐藤社長は、「株価は(みずほの)業績に加え、経済全般の状況や規制の動向、市場参加者の考え、動向など、さまざまな要素で変動していくものと認識しており、経営としては、そうした中で市場価値を高めていく努力をしてまいりたい」と説明したが、そこに具体策はなかった。

   型どおりの答えに、株主は「中核的自己資本が他のメガバンクと比べて低い。それをどうするのか、具体策を示してもらいたい」と食い下がる。

   佐藤社長は、現在進めている「中期経営計画にしっかりと取り組んでいく。これに尽きる」と強調したうえで、「配当を維持しつつ中核的自己資本の積み上げといった財務目標の達成を目指すと共に、IR活動にも経営陣が先頭に立って注力していくことで、市場の評価を高めていきたいと考えている」と述べた。

   この答えに、

「佐藤さん、あなた、そろそろお辞めになったらどうですか」

   そう漏らした株主の声に、静まり返っていた会場に、パラパラと拍手が起こった。

株価は上がらず、役員報酬は上がる

   株主はさらに続ける。

「株価が上がらないのに、役員報酬だけが増えているのはなぜか」

   佐藤社長は、

「2015年5月にストックオプション報酬を廃止して、業績連動型報酬を導入した。年度業績に対する報酬を翌年7月以降に支給するように変更したことが(役員報酬が増えた)要因であり、具体的には2015年度は月俸のみであるのに対し、2016年度には月俸に加えて2015年度分の業績連動報酬が支給されたことによる。報酬は、社外取締役のみで構成され報酬委員会で、予め定めた報酬の決定方針に従って決定しており、透明性・客観性の高いプロセスを経て定められるものであることを、ご理解願いたい」

と返した。

   たしかに、みずほFGの株価は、メガバンク3行の中で最低レベルだ。

   メガバンクの株価をみると、リーマン・ショック後の08年秋に大きく値下がり。みずほFG株は232円、三井住友FG株は3450円前後、三菱UFJFG株は598円を付けていた(いずれも、08年10月平均)。

   しかし、みずほFG株はその後も低迷。2010年10月には117円まで値下がり。110~150円前後をさまよった。2017年6月30日の終値は、前日比30銭安の205円40銭と、動きは鈍い。 一方、三井住友FG株は09年11月に2645円まで値下がりしたが、13年11月には一時5000円台まで上昇。2017年6月30日の終値は、前日比13円高の4379円を付けている。

   また、三菱UFJFG株も12年5月には340円台まで下落したが、その後はアベノミクスの後押しもあり急回復。14~15年には600円台、15年7月には900円を付けた。2017年6月30日の終値は40銭安の754円80銭だった。

通算8年、トップの座に君臨

   株価だけではない。みずほFG株は配当も見劣る。みずほFG株の年間配当は、2015年3月期に前期から1円引き上げ、1株あたり7円50銭にした。それ以降、17年3月期まで据え置かれている。

   一方、三井住友FG株は2014年3月期に120円、15年が140円。17年は前期の150円に据え置いたものの、これまで機動的に引き上げてきた。三菱UFJFGも、12年、13年と毎年引き上げ、14年3月期には3円も引き上げた。15年3月期からは18円に据え置いている。それでも、みずほFG株と比べれば、2倍超違う。

   そもそも、みずほFGをめぐっては、たびたび持ち上がる第一勧業、富士、日本興業の旧3行の不仲説に、嫌気がさしている株主が少なくない。それが業績の足を引っ張っているとの指摘もいまだに残る。

   さらには旧興銀出身の佐藤康博社長が、現職の「取締役兼社長グループCEO」に就いて3年。旧みずほコーポレート銀行の頭取就任が2009年で、11年にFG社長、さらに13年には新生・みずほ銀行(旧みずほCBと合併)の頭取を兼務したことを考えると、通算8年に及んでトップの座に君臨していることになる。

   その間、ずっと株価が上がらないのだから、株主の「もっと儲けさせろ!」「そろそろ辞めたら......」と言いたくなる気持ちもわからないではない。

   ある女性株主は、

「(株主総会は)何を言っても仕方ないといったムードが漂っていました。わたしだって心の中では(役員報酬が増えたことには)『なんで』『責任をとるつもりはないの?』って思いましたよ。きっと、そう感じている株主は多かったと思います」

と明かした。

   株主から、社長の進退に言及した質問があったことを、J‐CASTニュースが2017年6月28日に確認したところ、みずほFGは「公開されている資料以上のものについてはお話しできません」とだけ答えた。

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