バランスのとれた健康的な食事に欠かせないものといえば、やはり野菜だろう。日常的に多くの人が野菜不足だと感じており、野菜ジュースやサプリメントなどで摂取量を補おうと必死になっている。そもそも野菜を使った料理を自分から積極的に食べること自体、少ないのではないだろうか。
そんな野菜の摂取量が、料理の名前をお洒落にするだけで増加するという米スタンフォード大学の研究結果が2017年6月12日、米国医師会誌「JAMA Internal Medicine」電子版に掲載された。
「ビタミンC」「抗酸化」よりも人気の名前は
研究はスタンフォード大学のカフェテリアで、2016年の秋学期いっぱいを費やして行われた実験に基づいている。実験内容はシンプルで、毎日カフェテリアで販売される食事メニューの中に野菜を使った料理を1品加えるというものだ。
ただし野菜料理は調理法から素材までまったく同じものが4パターン用意され、それぞれ名前のみが変更されている。名前は健康的なイメージものから単純にお洒落なものまでさまざま。
例えばレモンドレッシングを使ったキャロットラぺ(千切りにしたニンジンのサラダ)の場合、「ニンジンのサラダ(基本表示)」「砂糖未使用シトラスドレッシングニンジンサラダ(常識的な健康表示)」「賢い選択 ビタミンCシトラスとニンジン(健康強調表示)」「ツイステッド・シトラスグレーズ・キャロット(洒落た表示)」といった具合だ。
4品はばらばらの位置に配置され、販売中は研究者らがそれぞれの料理が入れられたボウルからどれだけ取られたかを計測し、その量を比較した。
すると、洒落た表示の料理は基本表示よりも25%多く取られており、常識的な健康表示よりも41%、洒落た表示よりも35%多くなっていることが確認されたのだ。
実験はニンジンだけでなく、ビーツやグリーンピース、エシャロット、カボチャなど他の野菜でも行われているが、「抗酸化ビーツ」や「低炭水化物グリーンピース」といった名前よりも「ダイナマイト・チリとタンギー・ライム、季節のビート」「スイート・シズリジン・グリーンビーンズ」といった名前にしたほうが圧倒的によく消費されていたという。また、野菜を使っているがあえて野菜の名前を出さないといった方法でも消費量が増加したようだ。
カフェテリアで不特定多数を対象にしているという性質上、実際に取られた料理がどの程度食べられているかまでは測定できていないものの、研究者らは「一般的にカフェテリアなどで自分が選んだ料理は92%以上消費されている」とコメント。取ったものは大半が実際に食べられたと考えている。