「プレミアムフライデー 定着の兆し」「3人に1人が『プレ金』に参加」――そんなちょっと目を疑うような見出しが、読売新聞の2017年6月27日付朝刊に躍った。
実はこれ、新聞記事風の体裁を取った「プレミアムフライデー推進協議会」による全面広告だ。なかなか普及が進まない現状もあり、読者からは冷ややかな声が続出したほか、あの「虚構新聞」にもネタにされてしまった。
よく読めば...「早帰りに限らず」って
この記事風広告によると、プレミアムフライデーの認知率は約9割に達し、2月以来の過去4回のプレミアムフライデーにおいて、約3分の1が「いつもの週末にはできない、ちょっと豊かな過ごし方をした」と回答したという。「記事」では、「徐々に盛り上がりを見せるプレミアムフライデー」「今後への期待も膨らんでいる」「皆さんも、ぜひ豊かな週末を満喫してほしい」といった文言が躍り、経団連の石塚邦雄副会長による、
「プレミアムフライデーが、かつての『花金』のように、国民の豊かな時間を生む文化として定着するよう、経団連としても引き続き応援していきます」
というコメントも掲載されている。
3人に1人がプレミアムフライデーに参加した、といわれると、確かに普及が進んできたように感じる人も多いだろう。ところがこの設問文をよく見ると、
「いつもより早く帰ったかどうかに関わらず、普通の週末にはできない過ごし方ができましたか?」
とある。つまりプレミアムフライデーの本来の趣旨である「15時に仕事を終える」かどうかは、最初から度外視されているのだ。そもそもこの調査自体、経産省などからなる「プレミアムフライデー推進協議会」が自ら実施したものである。
なお、第1回のプレミアムフライデーだった2月24日の直後に行われた別の調査では、実際に「早く帰った」人はわずかに3.7%どまり。ちなみに、J-CASTニュースが6月28日、ツイッターで行った簡易アンケートでは、「一度も早く帰れたことがない」が92%に達した。メディアなどでも「プレミアムフライデー失敗論」が盛んに論じられている。
ほとんど同じ文章が「虚構新聞」に
こうしたお寒い状況で、大々的に打たれた「定着の兆し」広告に、ツイッターなどではもはや失笑が漏れるばかり。
「プレミアムフライデー。新聞に広告載せて流行ってますアピールが実に滑稽。お前ら政府が笛吹いたって今の日本人が踊る余裕など無い」
「プレミアムフライデーってそもそもが早く帰らせるのが目的だった気がするのに『早く帰れなくても豊かな週末の過ごし方』とかって言い出しててこの記事風広告を担当した奴ら軒並み馬鹿なの?」
「私も今日、読売新聞のプレミアムフライデーの広告、爆笑しながらよんだよ。これこそまさに印象操作」
さらに、「起こりえない」嘘ニュースばかりを掲載する人気サイト「虚構新聞」には28日、
「3人に1人が参加 プレミアムフライデー、定着の兆し」
の見出しで、この広告ほぼそのままの内容が掲載された。つまりは、「虚構」並みと皮肉られたわけだ。
6月の「プレミアムフライデー」は、30日となっている。