【羽鳥慎一モーニングショー】(テレビ朝日系)2017年6月14日放送
「日本人で急増 誤嚥性肺炎 予防のカギは?」
肺炎はいまや、脳卒中を抜いて「三大疾病」のひとつに数えられる。なかでも、高齢者の肺炎のほとんどを占めるのは、食べ物が肺に入って細菌が増殖することで起こる誤嚥(ごえん)性肺炎だ。
初期症状は微熱、呼吸が荒くなる程度なので見逃しやすいが、深刻化してからでは「手遅れ」になりかねない。
「歯を磨かず寝る」は最悪
歌舞伎俳優の中村勘三郎さんは2012年、食道がんの手術後に誤嚥性肺炎を患い、59歳で亡くなった。俳優の山城新伍さんは70歳のとき、この病で命を落とした。
「食べ物が肺に入る」がきっかけとなるが、食事中でなくても起きる。最も怖いのは睡眠中だ。口の中には、食べかすなどに付着した細菌がある。本来、唾液と共に食道を通って胃に向かうはずだが、寝ている最中は食道と気管の「分かれ道」で正常に仕分ける力が鈍っていて、食道に行くはずの唾液が気管を通って肺に行きやすい。細菌が肺に入り込んで、炎症を引き起こすのだ。御茶ノ水呼吸ケアクリニック院長の村田朗氏は、こう説明する。
村田氏「ほとんど自覚がないまま、口腔内のばい菌を吸いこんでいる」
これは誰にでも起こっているが、免疫力が高ければ肺炎にはならない。弱っている高齢者が危ないのだ。
誤嚥性肺炎を招きやすくする「やってはいけない行動」がある。まず「歯を磨かず寝る」は最悪だ。口腔内の細菌は、ひと晩で1万倍にも増殖する。歯を磨いても細菌を完全には取り除けないから、起床時にはある程度の菌が口の中にいるわけだ。まして歯が汚れたまま眠ってしまったら......。
食後にすぐ横になるのも、避けたい。寝転んでいるとき、食べたものが胃液と共に逆流してくる。そのときにむせかえって食道から気管に入る恐れがある。このとき、胃液が肺に入ってしまうと炎症が起きる。食べて2時間は、横になるのを我慢しよう。
のどの筋肉チェック「30秒間で4回、唾を飲み込む」
誤嚥性肺炎予防には、のどの筋肉の強化が効果的だ。まずは自分の状態を知ろう。簡単なチェック法として30秒間で4回、唾を飲み込んでみる。実は高齢になると唾液が出にくくなり、クリアが難しくなる。特に男性は、のどの筋肉が女性よりも衰えやすいので注意だ。
ひとつめのトレーニング方法は、仰向けになり頭だけ上げてつま先を見る。30秒から1分持続させる。1日3回3セット行うのが望ましい。
ただし高齢者にとっては意外にハードだ。もっと簡単なのは、顎に手を添えた後、手は顎を押し上げるように上方向へ、顎は力を入れて下方向へ、それぞれ「力比べ」する。
ほかに、空の500ミリリットル入りペットボトルを使い、飲み口の部分から思い切り吸いこんで「ぺしゃんこ」にして、元に戻すというトレーニング法も番組で紹介された。
最も手軽な予防法は、笑顔だ。免疫力を高め、口の周りの筋肉も鍛えられる効果もあると村田氏。カメラに向かって、宇賀なつみアナがニッコリとほほ笑んだ。MCの羽鳥慎一アナが思わず「いい笑顔ですねー」。