庭造りのガーデニングや、家庭菜園を楽しむ人たちが増えているが、いわゆる土いじりについて、レジオネラ症の感染に注意を促す研究報告が米国で発表された。堆肥や鉢植え用の培養土などにレジオネラ属菌が含まれているためだ。
これまでにも、堆肥などからレジオネラ属の菌種はみつかっているが、レジオネラ症患者を調べた今回の研究では、発症前の3週間以内にガーデニングの作業を行っていた。
堆肥や培養土に住む「ロングビーチ」
研究報告を行ったのは、ニュージーランド(NZ)・オタゴ大学のパトリシア・プリースト教授らの研究グループ。2017年6月16日付で、米疾病管理予防センター(CDC)の、新興の感染症を扱う学術誌に論文を寄せた。
レジオネラ症はレジオネラ属菌による細菌感染症で肺炎の一種。属菌は50種以上あり、レジオネラ・ニューモフィラが代表的なものとされる。自然界の土壌や、湖や川などの淡水に広く生息しており、循環式浴槽や給湯設備など入って繁殖、菌を含むエアロゾル(浮遊する微小な液体または固体の粒子)を吸入し感染する。
研究グループが対象にしたのは、属菌のうちのレジオネラ・ロングビーチ(ロングビーチェとも)。1980年に米カリフォルニア州ロングビーチで、レジオネラ症の患者から分離固定されたもので、堆肥や鉢植え土壌から見つかっている。
研究はレジオネラ・ロングビーチで感染し入院した31人の成人を調査したもの。年齢や就業状況、居住地域、収入などのデータのほか、発症前の健康状態、喫煙の有無、堆肥や培養土などと接する活動歴を尋ねた。
得られたデータや聞き取り調査によると、ほぼ全員が発症前の3週間以内にガーデニングの作業に従事していたことが判明。作業の過程で購入した堆肥製品を扱っていた。こうしたことから、論文では、ガーデニングがレジオネラ症の有意なリスク要因であることが示されたとしている。