コンビニエンス・ストアや総合スーパーを展開するユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)と、ディスカウントストア最大手のドンキホーテHDが業務提携の検討を始めた。具体的な提携内容は2017年度中に詰めるという。業態を超えた異色の組み合わせがどんな効果をもたらすのか、関心が集まっている。
ユニー・ファミマは国内にファミマのコンビニ約1万8000店とユニーの総合スーパー約200店を擁する。一方のドンキは、国内外でディスカウントストアなど360店余りを展開する。
総合スーパーの建て直しという厳しい課題
業務提携を打診したのはドンキ側からだったというが、「ユニー・ファミマにとっては願ってもない申し出だったのではないか」(流通関係者)との見方は強い。
ユニー・ファミマは2016年秋、コンビニ大手のファミリーマートが、サークルKサンクスや総合スーパーを傘下に持つユニー・グループHDと経営統合して誕生した。この統合でファミマはローソンからコンビニ業界2位の座を一気に奪い取り、店舗数ではコンビニ最大手セブン‐イレブン・ジャパンに引けを取らない規模になった。
コンビニ業界だけで見れば華々しい再編だが、ユニー・ファミマは同時に、総合スーパーの建て直しという厳しい課題を背負った。長引く消費低迷とデフレ傾向が解消されない環境の中、総合スーパーは全般的に苦戦しており、ユニー傘下のスーパーも不振続きで、有効な解決策を見いだせないままだ。
そこに届いたのがドンキからのラブコール。ドンキは2007年からスーパー長崎屋の再建を手掛け、食品や日用雑貨を強化した新業態「MEGAドン・キホーテ」への転換を進め、一定の成果を上げているとされる。このドンキのノウハウを借り、不振から脱せないスーパー事業の再生に道筋をつけられれば、最大のお荷物を肩から降ろすことができるのだ。
豊富な店舗網の活用
一方、ドンキは業務提携で何を狙っているのか。複数の流通関係者は「やはり、スーパーやコンビニという豊富な店舗網を活用したい、ということではないか」と見る。特に、総菜などを強化しているコンビニは超高齢社会の中で今後も成長を遂げるとみられており、コンビニを持たないドンキにとって、コンビニと提携する価値は少なくない。「長崎屋再建というある種の成功体験から、スーパーの売り場の有効活用にも自信があるのだろう」と指摘する関係者もいる。
両社の業務提携の検討は始まったばかりだが、とりあえず考えられるのは、商品の共同仕入れ、物流合理化によるコスト削減に加え、人手不足が深刻化する中で店舗の共同運営を試みることになりそうだ。商品の共同開発から、両社の知見を生かした新規事業開拓などの協業に発展するかもしれないが、どんな結論に至るかはまだ分からない。
少なくとも現時点では資本提携はしないとも言っている。ただ提携の内容次第では、これまでにない大型流通グループの新たな挑戦が始まる可能性があり、セブン‐イレブンを傘下にもつセブン&アイHDやイオンなど流通大手も注目している。