増田四段「『将棋界はぬるい所』と思われるのは悔しいです」
増田四段は現役プロ棋士で藤井四段に次いで2番目に若く、10代は17年6月現在でこの2人しかない。プロ入りは14年10月、16歳で高校2年生の時で、若手の登竜門とも言われる2016年の第47回新人王戦では優勝している。まさに将棋界のホープだったが、16年10月に藤井四段が最年少記録を塗り替えてプロ入りし、不敗の連勝記録を伸ばしていくと注目は藤井四段に集まった。
その中で迎える竜王戦開幕前の6月21日、増田四段は読売新聞朝刊に寄せたコメントで「本戦の初戦は注目されると思います。藤井四段が勝ちすぎている現状があり、『将棋界はぬるい所』と思われるのは悔しいです。負けられない対局なので、力勝負に持ち込み、攻め勝つ心構えです」と強烈に意識。
2人は3月12日にAbemaTVの企画「藤井聡太四段 炎の七番勝負」でも一戦を交えていたが、この対局前にも増田四段は「藤井君があっさり中学生棋士になって一気に注目が集まっていったので、それ(自分への注目)を取り戻すために頑張りたいと思います」と闘志をたぎらせていた。
だが、この対局を制したのは藤井四段だった。後に、将棋のポータルサイト「将棋情報局」5月16日付で掲載された増田四段のインタビューでは、これまでで「負けて一番悔しかった将棋は?」の問いに「AbemaTVの藤井四段戦です。生まれて初めて年下に平手(編注:互いに駒落ちせず、すべての駒を使う対局)で負けました」と答えている。
なお、増田四段はプロ棋士となってから今回の藤井四段戦前までに116局指して82勝34敗。また、藤井四段がプロ入りする前の奨励会時代にも2人は2度対局しているが、いずれも増田四段が勝利していた。
こうした2人の今回の対局後、ツイッター上でも両者を称える投稿が相次いでいた。
「増田四段19歳か...藤井四段と良いライバル関係だね」
「どちらも今後期待の10代棋士」
「いつか再戦して勝ってほしい。リベンジしないとね」
「今日を機に、増田先生が鬼のような棋士になるように期待します。増田-藤井時代がきっと来るでしょう。増田先生、素晴らしかったと思います。羽生(善治)-森内(俊之)両先生の激闘を感じました」