自動車メーカーの「タカタ離れ」はさらに進む
「製造業としては戦後最大の倒産」というタカタの経営破たん。下請け企業を含め、連鎖倒産が気になるところだが、帝国データバンク情報部の内藤修氏は、「短期的には、軽微でしょう。タカタ自身、取引先に対して、きちんとした対応していく用意があるとアナウンスしてきましたし、また(リコール)問題が発覚して随分経ちますから、慌てるようなことはないと考えています」と話す。
同社の調べでは、タカタグループの下請企業は合計で、全国で571社(一次下請先141社、二次下請先430社)がある。これらの一次下請先、二次下請先の総従業員数は5万9669人にのぼる。
都道府県別でみると、一次下請先では愛知川製造所や彦根製造所などの設備があり、タカタの発祥の地でもある滋賀県が30社でトップ。連結子会社のタカタ九州の本社がある佐賀県も10社を数える。
また、年商規模別では、「10億~50億円未満」が最多で、一次下請先・二次下請先の合計で180社を数えた。全体の6割強が年商数十億円から数百億円の中規模クラスの業者が占めている。
「ただ、中・長期的には不安があります」と指摘。「自動車メーカーも当座は支援しますが、新たな開発車種には外していくでしょう。『新生・タカタ』がどのような絵を描けるかにかかわってきます」と話し、再建計画がまとまるのに時間がかかるようだとタカタ離れがさらに加速する可能性がある。
すでにトヨタ自動車系では、2017年5月に豊田合成がエアバッグ用インフレータのタイセルと業務・資本提携を結んだ。エアバッグの世界シェア首位のオートリブはこの機に、さらにシェアを高めているとされる。
自動車メーカーに詳しいTIWのアナリスト、高田悟氏は「(自動車メーカーの)取引は縮小傾向に進むことでしょう」と話している。