大会で結果を出すランナーは出産前日まで走る
元女子駅伝の選手で順天堂大学スポーツ健康科学部の鯉川なつえ准教授は、ブログ「NATSUWAY・COM」の中で、「妊娠は女性の持久力を高める」と語り、英国の女子マラソンの女王ポーラ・ラドクリフと会った時のことをこう書いている(要約抜粋)。
「ポーラは妊娠がわかってから先輩ママさんランナーに教えを請うた。そして、心拍数が毎分160以上にならないこと、体温が上がりすぎないこと。この2つを守り、妊娠7か月まで以前と同様に1日2回の練習を、最後の2か月は1日1回のランニングと水中トレーニングを継続した。そして、産後10日でランニングを開始した」
オムロンヘルスケアのウエブサイト「健康ニュースコラム」の「大学病院に開設された『女性アスリート外来』」の中で、鯉川准教授は、女性マラソンランナーを対象にした研究報告を発表している。ラドクリフのように出産後、国際大会で結果を出した人と出せなかった人をインタビュー調査し、比較した。すると次のことがわかった(回答は平均数字)。
(1)妊娠中いつまでトレーニングしたか:結果を出した人は出産1日前。結果を出せなかった人は210日前(妊娠3か月以降トレーニングなし)。
(2)出産後いつトレーニングを再開したか:結果を出した人は出産後51日。結果を出せなかった人は163日。
(3)出産後何か月で体重が戻ったか:結果を出した人は5.2か月。結果を出せなかった人は22か月。
妊娠期間中もずっと走り続けた方が、いい結果が出るのだ。そして、結果を出した人のトレーニング強度は、通常の強度を100%として出産前後を比べると、こんな結果だった。妊娠初期は74%、中期68%、後期48%。出産後1か月が15%、2~3か月が60%、3~6か月では80%まで戻っていた。