スマホで手や手首がアブない!

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   現代人には欠かせぬアイテムになったスマートフォン。SNSやメールにゲームと、便利で楽しいデバイスなのだが、実は知らぬ間に手や手首を酷使している人が多いという。

   やはり生活のなかでのスマホ依存が顕著な米国では、医師らの間で、その使用過多の現状から「手・手首危機」の到来が予想されている。最新の研究では、すでにその兆候が示されているという。

  • スマホめぐって、健康機器到来が指摘されているが…
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手根管症候群

   米ケーブルテレビ(CATV)のニュース専門局、CNNは健康ニュースのウェブサイトで21017年6月21日に「テキスティングのやり過ぎが手首の痛み招く可能性」という特集記事を組み、問題が深刻化する可能性を示唆している。「テキスティング」とは、メールやショートメッセージサービス、SNSなどでキーボードを使いタイピングすること。

   医師らの間ではすでに、長時間にわたりスマホでテキスティングを続けて痛みやしびれが治らないような例がすでに報告されているという。

   米国屈指の総合病院、メイヨー・クリニック(ミネソタ州)の整形外科医、サンジーブ・カカール氏は、単なる痛みやしびれだけではなく、より深刻な「手根管症候群」発症の可能性を指摘している。

   「20年前の子どもたちは電子端末機など使ってなかった。現代では学校でも家でもどこでもいつでも手にしている。いま現れているのは氷山の一角。今後つもりつもったもののツケが現れることになるだろう」とカカール医師。

   「手根管」は手首近くにあり、神経などを覆うトンネル状のもので、これが、炎症を起こし腫れて厚くなり、正中神経などを圧迫するのが手根管症候群。日本整形外科学会のウェブサイトなどによると、正中神経は前腕の回内(内側に回す動き),手関節の屈曲,指の屈曲,人差し指の掌側外転などの働きを司るもので、手根管症候群では、この正中神経の支配領域がしびれるようになる。

   突発性のものが多く原因不明とされるが、妊娠・出産期や更年期の女性に多く生じるのが特徴。ほかに骨折などのケガ、仕事やスポーツでの手の使い過ぎでも発症する。症状により治るまでの期間はまちまちだが、静養や服薬で回復しない場合は手術の可能性もあるという。

1日5~6時間以上の使用で試験は「陽性」

   米神経筋・筋電図学会の学会誌に17年6月21日付で掲載された研究報告では、端末機器を長時間使う人は手根管症候群の兆候があることが示唆された。

   香港理工大学のピーター・ホワイト准教授らの研究グループにより行われた、18~25歳の成人48人を対象にした調査。48人は、同症候群の症状を申告してはいないが、そのレベルはさまざまながら、手や手首に痛みを感じると答えていた。

   報告によると、1日5~6時間以上端末機器を使うと述べた人たちは、5~6時間未満の人に比べて、正中神経の辺りをマッサージする機会が多く、臨床試験では手根管症候群について「陽性」を示すことが多かった。また、手や手首の痛みを訴える機会も多かった。

   調査はサンプル数が十分とはいえず、症状などについては自己申告であるほか、試験で用いられたのが、より正確に診断できる設備ではなく超音波画像診断だったことから、結果は「限定的」とされる。ホワイト准教授は、さらに研究が行われる必要性を認めながら「手根管症候群は中高年の女性に多い。しかし今回の研究で、長時間、集中的に端末機器を使う若い層が同症候群になる潜在性を示唆できた」としている。

「明らかな疾患の診断は現実にはない」指摘も

   スマホによる健康への影響をめぐってはほかに「スマホ首」や「スマホひじ」が指摘されている。前者は、米国などでは「テキストネック」とも呼ばれるが、スマホの画面を同じ姿勢で長時間見つめ、首の周囲が痛みだすこと。後者は、同じ姿勢で長時間スマホを持ち続け、ひじが自由に動かなくなることだ。

   CNNの記事では、手・手首から首やひじにトラブルをもたらすという「スマホ悪者論」を否定する医師の意見も掲載している。

   ニューヨークにある「特殊外科病院」の外科医、アーロン・ダリュースキー氏は「われわれが知る限りは、今日までに、コンピューターのキーボードあるいはスマホ使用により引き起こされたとする、明らかな疾患の診断は現実にはない。スマホを使っているからといって、それが手根管症候群にかかる可能性があることを意味しない」という。

   ダリュースキー氏はまた「手根管症候群が、携帯電話やスマホ由来だとすれば、患者がさらに山のようにいるはず。この10年間のスマートフォンの普及をみれば、手術があってもいいことになる。しかしそんな上昇はみていない」と指摘した。

   CNNの記事では、米国人の72%(2015年)がスマホ所有者であることを紹介しながら、手や手首の問題とテキスティングの因果関係をはっきり示した調査がないことに言及。これについてカカール医師は「過去に経験した手首の手術や、関節リウマチなどの疾患、あるいは反復する動きなどが、テキスティングと関連している。手根管症候群の発症は一つだけの原因で起こるものではない」と述べている。

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