「明らかな疾患の診断は現実にはない」指摘も
スマホによる健康への影響をめぐってはほかに「スマホ首」や「スマホひじ」が指摘されている。前者は、米国などでは「テキストネック」とも呼ばれるが、スマホの画面を同じ姿勢で長時間見つめ、首の周囲が痛みだすこと。後者は、同じ姿勢で長時間スマホを持ち続け、ひじが自由に動かなくなることだ。
CNNの記事では、手・手首から首やひじにトラブルをもたらすという「スマホ悪者論」を否定する医師の意見も掲載している。
ニューヨークにある「特殊外科病院」の外科医、アーロン・ダリュースキー氏は「われわれが知る限りは、今日までに、コンピューターのキーボードあるいはスマホ使用により引き起こされたとする、明らかな疾患の診断は現実にはない。スマホを使っているからといって、それが手根管症候群にかかる可能性があることを意味しない」という。
ダリュースキー氏はまた「手根管症候群が、携帯電話やスマホ由来だとすれば、患者がさらに山のようにいるはず。この10年間のスマートフォンの普及をみれば、手術があってもいいことになる。しかしそんな上昇はみていない」と指摘した。
CNNの記事では、米国人の72%(2015年)がスマホ所有者であることを紹介しながら、手や手首の問題とテキスティングの因果関係をはっきり示した調査がないことに言及。これについてカカール医師は「過去に経験した手首の手術や、関節リウマチなどの疾患、あるいは反復する動きなどが、テキスティングと関連している。手根管症候群の発症は一つだけの原因で起こるものではない」と述べている。