脳内の細胞「オートファジー」を活性化
EVOOを与えてから3か月目と6か月目に研究グループはマウスの脳組織を解析したところ、神経細胞の外観と働きは、EVOOを与えていないグループとは際立って違いがあることを示していた。
神経細胞同士のコミュニケーションを促す細胞間の連接部であるシナプスは非常に良好な状態で保持されており、脳組織は、細胞内のタンパク質を分解するための仕組みである「オートファジー」の活動が「劇的に増加」し神経原線維変化の改善を示していた。
こうしたことから、この実験で、EVOOがオートファジーの増加を促し、アミロイド班やタウのリン酸化を抑制していることが示された。
研究グループのリーダー、テンプル大医学部のドメニコ・プラティコ教授は「画期的な発見。オートファジーの活性化で認知能力やシナプスの状態が保持されていた。アルツハイマー病の進行を決定づけている病理学効果が有意に抑制された」と述べている。
プラティコ教授らの研究グループは、アルツハイマー病がさらに進行したマウスにEVOOを与える実験を計画している。「アルツハイマーとみられる患者が医師のもとを訪れるのは認知症の兆候を感じてから」と同教授。「そうした段階でもEVOOが症状を止め、回復に向け反転させられるかどうかを確認したい」
米国では約500万人のアルツハイマー病患者がいると推定されており、日本では、約462万人(厚生労働省13年6月発表)認知症患者のうち6割ほどがアルツハイマー病とみられるという。