高齢化社会の問題の一つに挙げられる認知症のなかで最も多いとされるアルツハイマー病をめぐり、エクストラバージンオリーブオイル(EVOO)が予防効果を持つ可能性があることが米国の研究者らにより報告された。
マウスを使った実験でわかったもので、予防だけでなく症状の進行を止めて回復に導く働きも期待できるという。
米研究グループがマウス使って示す
今回の報告を行った研究者らは、これまでにも「脳の健康によい」あるいは「認知症予防に効果あり」とされてきた「地中海ダイエット」に注目。そのなかで、主要食材の一つであるEVOOにしぼって効果の可能性を探った。
アルツハイマー病の遺伝子を組み込んだマウスを、EVOOを与えるグループと与えないグループに分け観察したものだが、EVOOのグループでは脳に改善に向かう変化がみられた。
研究を行ったのは、米テンプル大学医学部(ルイス・カッツ校)の研究グループ。2017年6月21日付で、米神経学会と出版社が提携して創設したオープンアクセス誌に論文を寄せた。
それによるとマウスには、アルツハイマー病の3つの主要症状である「記憶障害」「脳のアミロイド班」「脳の神経原線維変化」があらわれるようにし、これらがEVOOの摂取でどう変化するかをみた。
アミロイド班は、アルツハイマー病でアミロイド前駆体タンパク質の断片が神経細胞間に蓄積し神経細胞同士のコミュニケーションを阻害する。神経原線維変化は、健康な脳組織では栄養物などを運ぶタウたんぱく質がアルツハイマー病では細胞のなかで絡まり栄養が滞って細胞が死んでしまう現象(リン酸化)。