14歳・藤井聡太四段の快進撃もあり、「将棋」への注目が集まっている。テレビや新聞はもちろん、ネット上でも、たとえば藤井四段が連勝記録を伸ばすたび、ツイッターの「トレンド」欄が関連するキーワードで埋まるなど、関心の高まりは著しい。
ところが、そんな「将棋とネット」をめぐって、ある議論が巻き起こっている。
朝日新聞アカウントが一般ユーザーに注意
「朝日新聞将棋取材班です。朝日杯の棋譜中継は権利の侵害に当たります。即時、中止してください」
朝日新聞社のツイッターアカウント「朝日新聞将棋取材班」が、こんなリプライを1人のユーザーに飛ばしたのは、2017年6月17日のことだ。
このユーザーが行っていたのは、YouTubeのライブ配信機能を使った、朝日杯将棋オープン戦の「棋譜実況」だ。朝日杯は朝日新聞社と日本将棋連盟が共同で主催しているもので、対局は両者のウェブサイトでネット中継もされていた。一方、このユーザーの動画では、中継を見ながら独自に盤面を再現して表示しつつ、その展開にユーザーが視聴者とともに口頭でコメントを付けることで、リアルタイムに「実況」を行っていたのだ。
ユーザーはすぐに謝罪して、配信を中止した。この一件自体はこれで解決したのだが、ネット上では、「将棋を個人が『実況』してはダメなの?」と議論が巻き起こった。
「朝日新聞将棋取材班」は別のユーザーからの質問に答える形で、「権利の侵害」の詳細について、以下のようにツイートしている。
「中継をする権利は主催者である朝日新聞社、日本将棋連盟にあります。第三者が中継を希望する場合は、了承を得る必要があります」
対してツイッターでは、
「映像の二次配信ではなく、棋譜だけであれば、著作権法上も問題ないのでは?」
「どんな中継していたかわからないけど、ただ棋譜を並べて、放送主の見解を述べるのなら、普及につながると思うんだけどな」
と、朝日新聞側の主張に疑問を呈する声、また逆に、
「ここでは法的云々よりも、スポンサーが嫌がっているという事実を受け止めるべきじゃないのかな?」
などと、理解を示す声と、真っ二つに分かれる。