ジョブス以来のユーザー至上主義に逆行
「打賞」機能は中国インターネットの発明であり、モバイル・インターネットがある程度、発展してから現れた新しい情況であろう。中国で、「打賞」は一種の商行為であり、背景には中国スタイルの社交と礼儀の文化がある。「打賞」は称賛、激励、贈答ないしは一種の人情的な交流を意味しており、高額の「アップル税」取りたて、あるいは横暴な取り消しは、ユーザーを尊重せず、市場を尊重しない行為とみなされる。また、ジョブス以来、アップルが一貫して提唱して来た「ユーザー至上主義」という企業最高価値観に逆行しているのではないかと中国では思われてもいる。
アップルが支払いの3割を徴収すること自体、間違っていないとしても、最終的にどんな結果が待たされているだろうか。2016年、アップルの中国携帯電話市場のシェアは明らかに低下し、2017年第1四半期、アップルの中国携帯電話市場のシェアは一昨年同期の16%から大幅に下落して9%となった。この間、中国ローカルの携帯電話メーカーが勃興して重要な役割を果たした。ローカルの携帯電話メーカーの勝因の一つは、よりローカルユーザーの需要を良く知っているからだ。
いかなる時代においても、とりわけ現在のこのようなビジネス時代には、ユーザーの需要を軽視したり、ユーザーの選択を抑圧したりすることは、全て理知的な行為とはいえない。あるいは、短期的には明確にならなくても、長期的に見ると、必ず代価を払わされることになろう。物事は全てゆっくりと変化し、変革は全てひそかに発生している。
(在北京ジャーナリスト 陳言)