アップル社は2017年6月10日、開発者契約の条項を書き加え、アップルのアプリを使う「打賞」(投げ銭、チップ)には必ずアップルの支払いルート、すなわち、iPhoneなどアップル機器を使って支払う場合は、その支払額の30%をアップルが取ることになった。
これによって、4月末に、「微信(ウィーチャット)」経由の「打賞」が誘発した「アップル税」騒動は、最終的にアップルが押し切った形でピリオドを打った。
中国独自のネット慣習「打賞」
ネットで記事を読む場合、有料だろうが無料だろうが、その中間にある「打賞」という慣習は日本にはないようだ。「打賞」の中国語本来の意味は、尊貴な人物が低い階層、部下に贈る恩賞、あるいはサービスに対する心づけ、チップを意味する。
モバイル・インターネット時代に、この「打賞」はもはや中国では固有名詞となっており、携帯電話ユーザーがモバイル決済ルートを通して、気に入った文章の作者や動画のキャスターにチップを支払うことを指す。現在の中国で、スマートフォンを使っている人であれば、「打賞」の意味を知らない人はいないし、とくに友人の書いた記事、動画には褒めるつもりで僅かな金額のお金をこの方法で送る。
突然導入された「アップル税」にたいして、中国の一般ユーザーや各種の「打賞」支払いに関連しているプラットフォーム企業はこぞって、アップルのこのやり方に怒り、憤慨している。ただ、アップル社の内部規定そのものに戻って見てみると、アップルのこのやり方は、一種の「頑固一徹」の堅持というものかもしれない。
アップルの開発者契約の条項には、アップルは当初からアプリ内で購入されるバーチャルグッズから30%の歩合を徴収すると規定している。しかし、iPhoneなどのアップル機器で「微信」、「知乎(Q&Aサイト)」の関連文章を読み、「打賞」すれば、ほかの携帯端末から読むのと違い、アップル社に金額の3割を取られていくことに、中国の一般消費者は納得するだろうか。