ドーパミンの量に朝食が影響か
2回目の実験中、参加者たちの血液を検査したところ低炭水化物朝食時には「チロシン」というアミノ酸が多く含まれていることがわかっている。チロシンは欲求を満たす際に脳内で分泌される「ドーパミン」という物質の前段階の成分で、チロシンが多いということはドーパミンの量も多くなっている可能性が高い。つまり、朝食によってドーパミンの濃度が変化し、それが寛容か不寛容かという違いを生み出していたのだ。
パク教授は米国の科学メディア「New Scientist」の取材に対し、
「一般的に最後通牒ゲームでは、不公平な提案をされた人は『相手の狡猾な提案に対し罰を与えてやろう』という社会的正義を果たすという意識が働きがちで、提案を拒否することが多い」
と指摘。にもかかわらず朝食の内容によって提案を受け入れる可能性が高くなるのは、非常に大きな影響だとしている。論文の査読者は他の要因がどの程度影響を与えているのかさらに精査が必要としつつ、「重大な決断に朝食が作用する可能性を指摘したことは興味深い」と評価した。
寛容な心で誰かに接する必要がある日は、炭水化物を抑えてたんぱく質をしっかりと食べておくといいのかもしれない。