駐車場の車が自分に向かって動いてきたように見え...
DLB については2016年4月19日放送の「きょうの健康」(Eテレ)で、かわさき記念病院副院長の長濱康弘氏が詳しく解説していた。「脳の中に『レビー小体』という変異したたんぱく質のかたまりが現れ、これによって徐々に脳の神経細胞が壊されることで起こります」という。75歳以上の高齢者が発症するケースが多く、認知症患者全体の1割を占めるとの説もある。
長濱氏が示した以下の5つのうち、2つ以上当てはまればDLBが疑われる。
(1) 実際はいないのに、「人がいる・虫がいる」などと訴える。
(2) ぼんやりとはっきりの差が激しい。
(3) 小刻みにたどたどしく歩き、よく転びそうになる。
(4) 睡眠中、大声で寝言を言う。手足を激しく動かす。
(5) 落ち込むことが多くなった。
このうち、最も特徴的なのが(1)の「幻視」。家族や周囲の人で、明らかに様子がおかしいと感じ取ったら、全国にある「認知症疾患医療センター」か、「認知症サポート医」に指定されている内科医を受診する、あるいは市区町村にある「地域包括支援センター」や、各都道府県にある「認知症の人と家族の会」に相談するよう番組では勧めた。
50歳でDLBと診断された樋口直美さん(54)は、認定NPO法人「健康と病いの語り ディペックス・ジャパン」がウェブサイト上で配信している動画の中で、自らの体験を話している。幻視は具合が悪いときではなく「全く正常な意識、全く正常な思考力を持っている時に見えます」。いろいろなものが動いて見え、ある時に駐車場の車が自分に向かって動いてきたように見えたため止めようとして、一緒にいた人に驚かれた。幻視だけでなく幻聴、さらには「ナイフで切られたような痛み」や「何かがすごい腐っている嫌なにおい」という幻にも襲われた。
初めはうつ病と診断され、薬の副作用でかえって体調が悪化。DLBと正しく診断されるまで時間がかかったそうだ。一方で、慎重で適切な治療とケア、ストレスを避けて人と楽しく生活することで大きく改善するという。「希望はたくさんあるので、慢性疾患の一つのようにこの病気とうまく付き合いながら生活していって欲しいと願う」と語っている。