サッカーの天皇杯で、国内最高峰のJ1クラブが格下リーグのクラブに相次ぎ敗北した。
所属リーグのカテゴリーによらず、さまざまなクラブが出場する天皇杯はこうした「番狂わせ」が醍醐味とする声もある。だが、サッカー解説者のセルジオ越後氏は「伝統のある大会の魅力は薄れてしまった」と苦言を呈している。
J1の4クラブが下位チームに敗北
2017年6月21日の天皇杯2回戦は波乱続きだった。筑波大学がベガルタ仙台(J1)に、いわきFC(福島県社会人リーグ1部。J1から数えて7部相当)が北海道コンサドーレ札幌(J1)に、ヴァランラーレ八戸(JFL。同4部相当)がヴァンフォーレ甲府(J1)に、AC長野パルセイロ(J3)がFC東京(J1)に、それぞれ勝利。J1の18クラブ中4クラブが姿を消した。
J1クラブはリーグ戦以外に、天皇杯とルヴァン杯の両カップ戦、さらに前年の成績によってはアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)も並行して戦うが、リーグ戦を最優先してシーズンのマネジメントを行うことが多い。基本的に毎週末行われるリーグ戦を万全に戦うため、週途中のカップ戦は先発メンバーを大きく入れ替えるクラブもある。特に天皇杯の序盤戦では、トーナメントの組み方の関係でJ1は下位リーグのクラブと戦うため、ある程度戦力を落とすことがある。
セルジオ越後氏は23日付「サッカーダイジェストウェブ」で、下位リーグのクラブは「格上相手にあわよくば金星をと狙っているわけだから、自ずと勢いの差は出てしまう」と指摘。一方のJ1クラブにとって「天皇杯は『こなすだけの大会』になってしまっているのが現実なんじゃないかな」と厳しい言葉を投げた。
天皇杯は1921年にはじまり、2017年で97回目の開催。Jリーグ、ルヴァン杯、と並ぶ3大タイトルのひとつで、いわゆる全日本選手権。しかし、セルジオ氏は、「時代は変わり、伝統のある大会の魅力は薄れてしまったと言わざるを得ないよ」と嘆いた。