学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)をめぐる問題で、文部科学省・前事務次官の前川喜平氏(62)が2017年6月23日、東京・内幸町の日本記者クラブで記者会見した。「出会い系バー」通いを報じた読売新聞の記事には「個人的には官邸の関与があったと考えている」と指摘した。
いわゆる「加計文書」をめぐって最初に取材を受けたのはNHKだったが、その際の映像はいまだに放送されていないことも明かし、「国家権力とメディアの関係については、非常に不安を覚える」と述べた。
「監視国家や警察国家化が進行する危険性」
前川氏の「出会い系バー通い」は、読売新聞が2017年5月22日の朝刊で初めて報じた。前川氏は、この記事を「私に対する個人攻撃だと思われる記事」だとして、
「これはもちろん私としては不愉快な話だったが、その背後に何があったのかということは、これはきっちりとメディアの関係者の中で検証されるべき問題。私は、個人的には官邸の関与があったと考えている」
と話した。前川氏が「関与」を感じた理由は大きく2つ。ひとつが、「出会い系バー」通いについては、事務次官在職中に杉田和博官房副長官から注意を受けており、官邸がすでに事実関係を把握していたという点。もうひとつが、読売新聞と官邸からのコンタクトが「連動していると感じた」点だ。前川氏によると、5月20日、21日の2回にわたって読売新聞から取材を申し込まれたが、対応しなかった。5月21日には文科省の後輩にあたる幹部から
「和泉さん(和泉洋人首相補佐官)が話をしたいと言ったら、応じるつもりがあるか」
と打診があったが、「考えさせてほしい」と応じたきり放置したという。
この「出会い系バー」の記事が出た経緯については、
「もしこういうことが私以外の人にも起きているとするならば、それは大変なこと。監視国家化とか警察国家化と言われるようなことが進行していく危険性があるのでは」
と危機感をあらわにした。
読売新聞は6月3日の紙面で、22日の記事に対する批判に答える形で社会部長名の主張を掲載し、その中で「本紙は独自の取材」で、出会い系バーの事実をつかみ、「裏付け取材を行った」としている。