【あさイチ】(NHK)2017年6月22日放送
妊娠に悩む女性を救う「プレコンセプションケア」とは?
いま「プレコンセプションケア」という妊娠に悩む女性を救う取り組みが、世界保健機関や欧米の医学会で提唱され、日本でも専門外来が増えてきた。
コンセプション(Conception)は受胎で、お腹に命が宿ること。プレコンセプションケア(Preconception care)とは、直訳すると「妊娠前管理」という意味で、妊娠前に将来の妊娠や出産にリスクとなる要因をチェックし、安全に赤ちゃんを生もうというものだ。
不妊の原因は思ってもいない病気だった
番組では冒頭、結婚後ずっと子供ができず悩んでいた主婦カオリさん(41)を紹介した。自分の体に問題がないか、プレコンセプションケアを行なっている医療機関を受診した。すると、思いがけない病気を持っていることがわかった。「甲状腺機能低下症」だ。甲状腺から分泌されるホルモンは妊娠の成否に大きな役割を果たす。少なすぎると不妊、多すぎると流産の原因になる。妊娠適齢期の女性20人に1人に甲状腺機能の異常があるといわれる。血液検査で分かるが、自覚症状がなく自分で気づくことが難しい病気だ。
カオリさん「驚きました。自覚症状がまったくありませんでした」
カオリさんは、甲状腺ホルモンを補う治療を受け、半年後に妊娠した。妊娠後もホルモンの値を適切にコントロールしたおかげで流産することもなく無事に出産。3年後には2人目も恵まれ、現在、4歳と0歳の2児の母だ。
MCの井ノ原彦(イノッチ)「よかったですね。不妊治療では女性の負担が大きいと聞きますが、甲状腺機能の検査などは普通の不妊治療の中に含まれないのですか」
リポーターの佐々木彩アナ「甲状腺を調べる所もあれば、調べない所もあり、色々です。実は今回、プレコンセプションケアを企画したディレクター(女性)は、カオリさんとまったく同じケースで甲状腺異常が見つかり、無事出産にこぎつけたのです。妊娠してからではなく、妊娠する前に自分の体を良く知り、無事に妊娠し、より良いお産に持っていこうという試みがプレコンセプションケアの考えかたです」
佐々木アナは、妊婦の持っている病気や体の状態が赤ちゃんに与える影響を次の表にして紹介した。
(1)甲状腺疾患⇒不妊・流産・早産。
(2)糖尿病⇒流産・胎児の先天異常・症状悪化。
(3)高血圧⇒胎児の発育の遅れ・症状悪化。
(4)肥満⇒流産・胎児の先天異常。
(5)やせすぎ⇒早産・低出生体重児(2500グラム未満)⇒低出生体重児は将来生活習慣病になりやすく、女児の場合は将来の妊娠に課題が出てくることがある。