NHSは「研究の甘さ」指摘
NHSは論文を否定しているわけではなく、炭酸水によってグレリンの濃度が高まる可能性は認めている。ただし、いくつかの理由から「必ずしも炭酸水が肥満の原因かはわからない」としている。
まず、人とラットは同じ種ではないので、同様の効果が見られるかは人間を対象とした臨床実験をしなければわからないと指摘。ラットは限りなく人間と近い生理的反応をすると言われているが、それでも今回の研究でわかるのは「可能性」でしかない。人間でグレリン濃度の検証もしているが人数が少なすぎる。
さらに、研究では他の生活習慣が影響を与えていなかったどうかが検証されていないことも問題視している。NHSによると、炭酸飲料をよく飲む人は食生活が乱れがちで運動を嫌がる傾向にあり、そもそも太りやすい状態に陥っているのだ。
またグレリン以外にも存在する食欲を刺激するホルモンの数値には変化がなかったことも明らかになっており、本当にホルモンの影響で食事量が増えたのかという疑問も指摘されている。
とはいえ、単なる水道水が肥満にとっては最も低リスクであることはNHSも認めており、「喉の渇きを解消したいのなら、水道水を飲むことを推奨する」と結論づけている。