猫には逃げ場になる涼しい場所を用意しよう
さて、猫の場合はどうなのか。ペット保険大手のアイペット損害保険が運営する獣医監修の猫情報サイト「にゃんペディア」では、「本当は恐い猫の熱中症」の中で東京猫医療センター院長の服部幸氏がこう解説している(要約抜粋)。
猫は汗を出すことができる場所が肉球だけだ。犬のように舌を出して熱を逃がすこともできないので、呼吸による体温調節も苦手。だから、室内猫は犬より熱中症になりやすい。猫の熱中症の症状も犬とよく似ている。症状が出たらどうしたらよいか。服部院長は、猫の体温を下げる応急手当をしながら、動物病院に電話で相談しつつ指示を仰ぐことを勧める。主な対処法は次の3つだ。
(1)体温を下げる:水で濡らしたタオル、またはアイスノンを布でくるんだものを脇の下や太ももの間に挟ませる。大きな血管が流れている場所のため効率よく体温を下げられる。濡らしたタオルを体にかけ、上から流水を当て続ける方法もある。ただし、体温が下がりすぎると、低体温症で命を落とす危険があるため氷水は決して使用しない。
(2)水を飲ませる:脱水症状になっているので、水を少しずつゆっくりと飲ませる。しかし、自力で飲むことが出来ない場合は無理をせずすぐに動物病院に行く。無理に飲ませると、肺に水が入り、肺炎を引き起こす恐れがある。
(3)動物病院に連れて行く:熱中症の症状が現れてから30~60分以内に適切な手当をしないと危険だ。いつ倒れたかわからない場合は、上の2ステップを飛ばし真っ先に動物病院に連れて行く。
そして、暑い季節を迎えた現在、予防には次の点に気をつけたい。
(1)気温と湿度を適度に保つ:エアコンをドライか冷房設定にし、温度は28度を超えない設定で。猫がエアコンを嫌がる場合は、高窓を開けたり、換気扇をつけたりして風の流れをつくる。
(2)猫に快適な場所を作る:猫は涼しい場所を勝手に見つけるので、逃げ場所となる涼しい場所を作っておく。日陰の部屋や、浴槽から水を抜いた風呂場を開けておくなどの空間を用意しておく。熱中症対策グッズのクールシートやクールマットを置くこともオススメ。
(3)水をたっぷり用意:ひっくり返す場合や蒸発する場合があるので、水飲み場は3つ以上用意しておく。
(4)一緒に出かける際の注意:キャリーケースで運ぶ時は、濡れたタオルを用意し、体を時々拭いてあげる。キャリーケースにタオルやペットシーツなどで包んだ保冷剤を一緒に入れることも1つの方法だ。
最後に、熱中症にかかりやすい猫の特徴として、「ペルシャなど鼻のつまった短頭種の猫はスムーズな呼吸がしづらい。また、太っている猫や老猫、子猫は体温調節が上手くできないので、特に注意が必要です」と呼びかけている。