将棋の史上最年少プロ棋士、藤井聡太・四段(14)が2017年6月21日、デビュー以来無敗のまま歴代最多タイに並ぶ公式戦28連勝を達成した。28連勝は神谷広志・八段(56)が五段だった1987年に樹立して以来30年ぶりだ。
藤井四段の偉業の前日には、史上最年長プロ棋士の加藤一二三・九段(77)が対局に敗れて現役を引退していた。インターネット上では「世代交代を感じる」「因果なもので」と運命的なめぐりあわせを感じる声が相次いでいる。
加藤九段の最年少デビュー記録を塗り替えたのも藤井四段
藤井四段は関西将棋会館(大阪市)で7大タイトル戦の1つ、王将戦の予選で澤田真吾・六段(25)と対局し、99手で勝利。16年10月のプロ入り以来、現在中学3年生ながら無傷の28連勝という破竹の快進撃を続けている。
この大記録と同時に注目されたのが、「ひふみん」の愛称で親しまれる加藤九段の幕引きとの連続性だ。前日20日、加藤九段は将棋会館(東京都渋谷区)で7大タイトル戦の1つ、竜王戦の昇級者決定戦に挑み、敗北。対局を振り返る感想戦をせず足早にその場を立ち去り、この日を最後に現役引退した。
2人は何かと接点があった。藤井四段のプロデビュー時の年齢は史上最年少の14歳2か月だが、塗りかえるまでの最年少記録は加藤九段の14歳7か月だった。また、藤井四段のデビュー戦の相手も加藤九段で、現役最年少と最年長の対局は大きく注目された。この対局を制したのは藤井四段だった。
ツイッター上の発言をみると、加藤九段は藤井四段を相当気にかけていたようだ。藤井四段がプロ入りを決めた対局直後の16年9月3日には「藤井聡太新四段のご誕生まことにおめでとうございます。62年ぶりに史上最年少記録を塗り替えてのプロ入りということで、かねてより注目しておりました。是非とも息の長い棋士になってほしいと願います。個人的には、現役棋士として、こうしてコメントできるのも幸せなことで感慨深く思っております」と喜んだ。連勝記録が伸びるたびにも投稿し、17年4月25日には「じつは藤井聡太四段が将棋を初めた5歳という年齢はね、ひふみんとおなじなの」とポップにつづった。