自己流は危険、絶対に医師の指導のもとで
今回の学会の提言のポイントは次のとおりだ。
(1)対象は、かゆみのある湿疹をともなう「アトピー性皮膚炎」のある乳児で、湿疹のない乳児は生後5~6か月から離乳食を与える一般的な進め方でよい。
(2)湿疹のある乳児は、必ず専門医を受診し、アトピー性皮膚炎であるかどうか診察を受ける。そして、医師から湿疹の治療を受けたうえで、卵の摂取を進める。
(3)生後6か月からMサイズの固ゆで卵を粉末にし、毎日0.2グラム(1個の100分の1程度)の量を3か月間食べる。それから次第に量を増やしていき、1歳児になったら卵半分の量を食べる。それでも皮膚に湿疹ができないことが目安になる。
(4)以上のことは必ず医師の指導、管理の元で行なう。家庭で自己流に卵を食べさせるのは非常に危険だから絶対にしてはいけない。また、途中で湿疹が出たらすぐにやめる。
(5)すでに「卵アレルギー」が疑われる症状が出ている乳児は、安易に卵を食べさせることは極めて危険なので、専門医は「食物アレルギー診療ガイドライン2016」に従って対応する。
大事なことは、自己流で勝手に卵を食べさせずに、必ず医師の診療と指導を受けることだ。
かつては、アレルギーを起こしやすい乳児は、危ない食品はなるべく遅くまで避けた方がいいと考えられてきた。最近は、食べる時期を遅らせると体が慣れず、発症リスクをかえって高めることが分かってきた。ピーナッツアレルギーも同様の研究が相次ぎ、米国立衛生研究所は2017年1月、ピーナッツアレルギーの発症予防のために、発症の恐れが高い子も含めて乳児に早期にピーナッツ食品を与えるように推奨する新しいガイドラインを発表している。
ただし、このガイドラインについて日本アレルギー学会は「我が国では離乳早期にピーナッツを摂取すべきかどうかはこれからの研究課題」という慎重な姿勢を学会ホームページに掲載している。