【健康カプセル!ゲンキの時間】(TBS系)2017年6月18日放送
毛細血管の「ゴースト化」を防ぐ生活習慣は
体のすみずみに栄養を運んでくれる毛細血管。それが末端で消滅してしまう人が増えている。「毛細血管のゴースト化」と呼ばれる現象だ。
生活習慣の乱れが原因で、中高年の半数近くにいるという。放っておくと、認知症、肝臓・腎臓病、骨粗しょう症をはじめ命の危険につながりかねない。どうしたら消えた血管が戻ってくるだろうか。
消えた毛細血管から有害物質が流れ出す
毛細血管は、酸素や栄養素を全身に届ける重要な役割を果たしており、血管の99%を占めている。赤血球1つが何とか通れる程度の太さで、髪の毛の約20分の1の細さだ。生活習慣の乱れなどにより毛細血管が途中で切れて消滅するのが「毛細血管のゴースト化」だ。切れた箇所から血管が運んでいた老廃物や有害物質が組織内に流れ出す。
大阪大学微生物病研究所の高倉伸幸教授がこう解説した。
高倉教授「ゴースト化が進むと、命の危険に関わることがあります。腎臓の毛細血管がゴースト化すると、高尿酸値血症・蛋白尿・高血圧を引き起こす可能性があります。肝臓は毒性物質が蓄積するのでゴースト化しやすく、脂肪肝を引き起こし、最悪の場合は肝硬変につながります。さらに脳に有害物質が入り、アルツハイマー症や認知症になる心配もあります。最もすぐに影響があらわれるのは肌です。コラーゲンを作る機能が低下して、シミやシワ・たるみの原因になってしまいます。また、末端に血液が行き届かなくなるので、手足の冷え性にもなります」
爪を指で押して離すと「ゴースト化」がわかる
自分の毛細血管がゴースト化しているかどうか、簡単にチェックできる方法を高倉教授が紹介した。「爪床(そうしょう)圧迫テスト」だ。「爪」と呼ばれている爪甲(そうこう)の裏側にある指先の皮膚のことを「爪床」という。
①親指で爪の根元を5秒間強く押さえて離す。
②離した瞬間、爪は白色だが赤みが戻るまで何秒かかるか数える。
健康だと2秒以内に赤みが戻る。救急医療では2秒以上かかるとかなり心臓が危ない状態だという。5秒たっても戻ってこない人は、毛細血管の状態が悪く、ゴースト化している可能性が高い。
番組では、高倉教授の研究室で50代の男女8人の毛細血管の画像を調べ、ゴースト化しているかどうかチェックした。すると、半数の4人の毛細血管が途中から消滅、ゴースト化していた。「元気組」と「ゴースト組」に分けて生活習慣を聞くと、次の違いがあることがわかった。
(1)元気組は適度な運動をしていた。たとえば、毎日のウォーキング、週3回のテニス、ヨガなど。一方、「ゴースト組」はまったく運動をしない人が3人、ダンベルベンチプレスなどの激しい筋トレをしている人が1人いた。
高倉教授「毛細血管にいいのは1日20~30分程度の有酸素運動を続けることです。激しい運動は活性酸素を作り出して、血管にダメージを与えてしまうことがあります」
(2)食生活では、「元気組」は3食きっちりとバランスよく食べる人ばかりだった。「ゴースト組」では、ラーメンにパンを浸して食べる「偏食」の人や、朝食を抜いて昼はお菓子だけの人、生ビールを10杯飲む人など。
高倉教授「お酒が好き、炭水化物が好き、脂っこいものが好きなど、偏りがちな食事は、血管にダメージを与えます」
(3)睡眠では、見事なくらいに差が出た。「元気組」は全員夜12時前に就寝、6時間以上寝ていた。一方、「ゴースト組」は全員が12時過ぎに就寝、6時間未満の睡眠時間だった。
高倉教授「睡眠不足は体内時計に大きく影響します。体内時計によってホルモンが出され、それにより血管は整ってくるので、修復する時間(睡眠時間)をしっかり取ってあげないと、血管のダメージが回復されません」
ルイボスティーで「46歳」の血管年齢が「25歳」に
逆に言うと生活習慣を見直せば、毛細血管は若返ることができるという。高倉教授が勧めたのは、最近、人気が高まっている南アフリカ特産の茶葉ルイボスティーだ。ルイボスティーのエキスには毛細血管にある成分の「Tie2」(タイツー)を活性化させ、血管と血管をくっつけ、細胞の周りの壁細胞を接着させて血管の構造を安定させる働きがある。そもそも毛細血管のゴースト化は、この壁細胞が破れて血管が崩壊する現象なのだ。
高倉教授「1日1杯飲むことがオススメです」
番組では最後に、昨年10月から毎日ルイボスティーと、同じく血管にいいといわれるシナモンをとっているMCの渡辺満里奈さん(46歳)の「血管年齢」を測った。昨年10月の時点では「40歳」だった血管年齢が「25歳」になっていた。渡辺さんは「ひゃあ~!」とガッツポーズをとった後、感極まって泣いた。