「蚊に吸われたら」という恐怖が犯罪防止に
血を吸った蚊から1時間、2時間、3時間~72時間後と、12段階の時間差で血液を採取し分析した。その結果、個人識別のDNA型判定は、吸血から2日(48時間)後まで可能であることがわかった。また、血液の変化の逆算から、蚊が犯人の血を吸った時刻の推定も半日(12時間)単位で測ることができた。つまり、犯人を特定できるばかりか、半日単位のおおまかな時間だが、犯人が現場にいた時刻の推定も可能になったわけだ。
研究チームは発表資料の中でこうコメントしている。
「今後は実験の件数を増やし、もっと精度を上げていきたい。血液消化がもっと穏やかに進む分子のDNA識別法を使えば、2日以上の時間が経過しても個人識別が可能になるでしょう。私たちの研究は、犯人を特定する犯罪捜査に貢献できるばかりか、犯罪現場では『蚊にも刺されてはいけない』といったDNA鑑定への畏怖を感じさせるという点で、犯罪防止の社会貢献度は非常に高いと思います」