夫の家事・育児時間=米173分、ドイツ180分、日本67分
キャンペーン実施の背景には、男性の家事・育児への参加時間の短さがある。内閣府の「男性の暮らし方・意識の変革に関する専門調査会」が3月に発表した資料によると、6歳未満の子を持つ夫の家事・育児参加時間は週全体でみて1日あたり67分(2011年時点)、妻は461分と大きな差がある。欧米先進国では、米国は夫173分(妻339分)、ドイツは夫180分(妻371分)、スウェーデンは夫201分(妻329分)など、日本と比べて夫の参加時間が長い。
そこで政府は、上記の夫の家事・育児参加時間を「2020年までに150分」にする目標を掲げた「第4次男女共同参画基本計画」を15年12月に閣議決定した。17年3月には内閣府の男女共同参画会議の「男性の暮らし方・意識の変革に関する専門調査会」が、夫の家事・育児参加時間を増やすための課題や対策を整理した報告書をまとめた。
キャンペーンはこうした目標を達成するための政策の一環で、今回は家事の中でも料理にフォーカスした。石橋さんを大使に選んだ理由は、「家事・育児をこなしながらも、何でもできる『イクメン』とは若干違い、良い意味で『庶民的』な面があります。世の夫の皆さんにとって共感しやすく、同じ目線で家事への参加方法を見せてくれると思いました」という。
ただ、ツイッター上では
「民間の労働環境是正が先やろ」
「早く帰れないのが実情だろうに...」
「おとう飯なんてフザケンナですよ。そんなんよりも夫を早く家庭に返して下さい」
と、そもそも働き方を変える必要があるとの意見が少なくない。
こうした反応について、内閣府の担当者にどう思うかを聞くと、「もちろん『おとう飯』キャンペーンだけで全てが変わるとは思っていません。あくまで夫の家事・育児参加時間を増やす政策のうちの1つという位置づけです」として、次のような見解を述べた。
「働き方改革はすでに厚生労働省が主体となって進めております。それに、長時間労働が是正されても、それで即家事・育児への参加につながるわけではないはずです。『働き方』の反対側にあるのは『暮らし方』だと考えており、その1つが夫の家事参加です。この両者は両輪で進めていく必要があると思っています」