2012年には認めなかった
一方で、銀行などの「カードローン」への風当たりが強まっている。
3月17日、信用金庫業界との意見交換会で、金融庁監督局の西田直樹審議官は、カードローンについて、「監督指針にそった適切な業務運営が行われているか、いま一度よく点検していただき、仮に改善点などがあれば、ぜひ改善に向けた取り組みをお願いしたい」と、クギを刺した。
ここ数年、マイナス金利下でも高い金利収入が期待できるカードローンを、銀行や信用金庫はこぞって伸ばしてきた。銀行などのカードローンが、貸金業者に課せられている「利用者の年収の3分の1までしか貸せない」総量規制の対象外にあることもある。
銀行などのカードローンの積極推進が多重債務者を増やしているとの批判が高まっており、金融庁としては「口頭指導」したわけだ。
ゆうちょ銀行が郵政民営化委員会に提出した資料によると、個人向けの貸し出し(住宅ローンを除く)の市場規模は、2016年12月末時点の貸出残高で、銀行・信用金庫が6兆266億円(前年比9%増)、貸金業者が4兆403億円(1%増)。その多くが、カードローンによる貸し出しという。
また、金融庁が17年6月12日に開いた多重債務問題などに関する懇談会で示した調査資料では、銀行のカードローン利用者のうち、3年以内に貸金業者からもお金を借りた経験のある人の割合が63.7%にものぼることがわかった。
全国銀行協会の平野信行会長(三菱UFJフィナンシャル・グループ社長)は6月15日の記者会見で、銀行のカードローンへの「規制は不要」との認識を示したものの、「一部に行き過ぎがあった」ことは認めている。3月には全銀協として、配慮に欠けた広告や宣伝の抑制や審査体制の見直しなどを申し合わせた。
そもそも、ゆうちょ銀行は2012年に住宅ローンやカードローンなどの融資業務への参入を申請したが、審査体制の未整備を理由に金融庁が認めなかった経緯がある。「なぜ、いま」――。銀行や信用金庫は金融行政への不信感を募らせている。