国有地が格安で払い下げられたことが発端の学校法人「森友学園」(大阪府)をめぐる一連の問題が、ついに強制捜査に発展した。大阪地検特捜部が2017年6月19日夜、学園が運営する塚本幼稚園や籠池泰典・前理事長(64)の自宅を捜索。資料の分析や籠池氏らへの事情聴取を通じて捜査を進める予定だ。
今回の捜索で学園にかけられている容疑は、「本筋」といえる国有地売買をめぐるものではなく、学園が補助金を不正に受け取っていた疑いがある、というものだ。当の籠池氏は、今回の捜索について「国策捜査」だと訴え、「『本筋』の立件になれば、安倍総理夫妻を捜査対象にせざるを得ない」とも指摘し、「大阪地検特捜部の奮起を促したい」と地検の対応を皮肉っている。
補助金を不正に受け取った疑い
今回の捜索は、塚本幼稚園が保育士の数を水増ししたり、開設を目指していた小学校の建設工事で複数の契約書を作成したりして大阪府や国交省から不正に補助金を受け取っていた疑いがある、として行われた。
幼稚園では19時頃、籠池氏の自宅では21時頃、それぞれ捜索が始まった。安倍首相の会見は18時から約40分間にわたって行われ、捜索開始はその直後にあたる。
この日は、MBS(毎日放送、TBS系)が籠池氏の自宅で密着取材しており、その様子が同日の「ニュース23」で流された。それによると、妻の諄子(じゅんこ)氏は捜索のニュースを見て
「うわー、すごい汚い。きたねーなー!」
と叫び、泰典氏はインターフォンを押して自宅に入ってきた大阪地検の係官を出迎える際、
「国策捜査やから」
とつぶやいた。