現代の「万病のもと」の一つとされ、毎年400万人もの命を奪っている「肥満」の増加が止まず健康の危機が深まっている―。米国の医学専門誌で、こうした内容の調査結果が報告された。
研究者らは、世界規模での食の環境改善を提唱。肥満の主要原因の一つ、いわゆるジャンクフードを規制するための課税や補助金の導入、広告規制、学校給食の見直しなどが手段として考えられるという。
米医学誌に調査報告
調査を行ったのは米ワシントン大学に付属する保健指標評価研究所(IHME)のチーム。2017年6月12日付で、同国の医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」にその結果を報告する論文を発表した。
それによると、体格指数(BMI)が健康レベルを有意に超える「肥満」の人たちの数は世界で2015年、成人が6億370万人、子ども1億770万人。人口比でそれぞれ、12%、5%を占める。世界の大人10人に1人以上の割合で「肥満」ということになる。
報告によると2015年にBMIの高さが関与して死亡した人は400万人にのぼり、これは死者数全体の7.1%を占める。IHMEのディレクター、クリストファー・マレー博士は「体重増を気にしない人はそれに伴うリスクも気にしていない。心血管系疾患、糖尿病、がん、また、ほかの命を危うくするリスクであるにもかかわらず」と述べている。