安倍晋三首相は2017年6月19日夕方、通常国会の閉会を受けて記者会見を開き、国会審議の内容について「大変申し訳なく感じている」「深く反省している」などと述べた。安倍首相がこういった謝罪や反省めいた言葉を口にするのは異例だ。
ただ、この「反省」の直前には、「印象操作のような議論に対して、つい強い口調で反論してしまう」とも説明。自らの「強い口調」の原因を作ったのは、野党の「印象操作」だと非難しながら、民進党が「特区停止」法案を提出したことを「改革を後退させようとする発想」だと、こき下ろした。
「私の姿勢が結果として政策論争以外の議論を盛り上げ、深く反省」
安倍首相は今国会での議論について、
「『建設的に議論』という言葉からは大きくかけ離れた批判の応酬に終始して、政策とは関係ない議論ばかりに多くの審議時間が割かれてしまった。国民の皆様に大変申し訳なく感じている」
と総括した。しかし、その直後に、
「印象操作のような議論に対して、つい強い口調で反論してしまう。そうした私の姿勢が結果として政策論争以外の議論を盛り上げ、深く反省している」
とも発言。「政策と関係ない議論」の遠因は、野党側の「印象操作のような議論」にあるという国会での答弁は曲げなかった。
「加計文書」調査は「政府への不信招いた」
加計学園をめぐる問題では、文科省内の調査については
「二転三転した形となり、長い時間がかかることになった。こうした対応が、国民の皆さんの政府への不信を招いたことは、率直に認めなければならない」
などと陳謝。一方で、獣医学部の新設については、口蹄疫や鳥インフルエンザの流行を理由に
「専門家の育成、公務員獣医師の確保は喫緊の課題。そうした時代のニーズに応える規制改革は、行政をゆがめるものではなく、ゆがんだ行政を正すもの」
などと引き続き正当性を主張。その上で、民進党が特区制度の既存事業や新規指定の当面停止を盛り込んだ法案を提出したことへの批判を展開。
「半世紀ぶりの獣医学部新設についても、審議に携わった民間議員の皆さんは、プロセスに一片の曇りもないと断言している。まさに岩盤規制改革の突破口だ。しかし、この特区制度について、この国会では、民進党の皆さんから制度自体を停止する法案が提出された。改革を後退させようとする発想で、誠に残念」
と述べたものの、「総理のご意向」という記述があったことを文科省が認めた内部文書について、具体的な言及はなかった。