ウサギの耳を手で掴んでぶら下げたまま、笑顔を浮かべて「記念撮影」――。そんな瞬間をおさめた写真がツイッターに投稿され、「動物虐待」「本当に可哀想...」との批判が相次ぐ騒ぎが起きた。
問題の写真が撮影されたのは、ウサギとの触れ合いコーナーが人気の自然公園「のこのしまアイランドパーク」(福岡県能古島)だ。同園では今回の騒動を受けて、「ウサギを抱っこしないでください」などと記したポスターを制作し、来園客へ注意喚起を始めた。
「ウサギってこう掴むんやろ?」
ツイッターに投稿された写真には、男性がウサギの両耳を片手でギュッとつかみ、高い場所からぶら下げる様子が写っている。男性はウサギをぶら下げたまま笑顔を浮かべており、その姿をもう一人の女性がスマートフォンで撮影している。
こうした写真を撮影したのは、男女二人組の様子を現地で目撃したあるツイッターユーザーだ。このユーザーは2017年6月15日、
「うさたんの耳掴んで写真撮ってる糞カップルが居て胸糞悪くなった」
などのコメントを添えて写真を公開。この投稿は19日夕時点で6万回以上リツイート(拡散)されるなど大きな注目を集めることになった。
写真を公開したユーザーは19日のJ-CASTニュースの取材に応じ、ウサギの耳をつかんでいた男女二人組は30代前後だったと説明。この二人組は「楽しそうな雰囲気」で写真を撮影し、撮り終えるとすぐに立ち去ったという。
男性がウサギの耳を掴んでぶら下げていた時間は30~40秒ほどで、投稿したユーザーによると、その間ウサギは「体が硬直し大人しくじっとしていた」といい、この男女二人組は、
「『ウサギってこう掴むんやろ?』『えーかわいそー笑笑』」
などの会話を交わしていたという。なお、投稿者はその場で二人を注意しなかった理由について、
「注意したかったのですが、保身に走り、写真だけ撮りました」
と取材に説明した。
「ウサギがパニックを起こす場合も」
ウサギの耳をつかんでぶら下げる男性の姿をおさめたこの写真に対し、ツイッター上では、
「ウサギの耳を持つとか、動物虐待」
「虐待やん...ウサギの耳持って持ち上げたら駄目!!」
「おもちゃ感覚で生き物と触れ合わないでほしい。このウサギ、本当に可哀想...」
といった批判が殺到。なかには、「あんなことしたら本当にうさぎに強いストレスが掛かる」などと健康への影響を心配するユーザーも出ていた。
ウサギ専門のペットショップ「うさぎのしっぽ」横浜店の店長は6月19日のJ-CASTニュースの取材に対し、
「ウサギは耳に血管や神経が集中しているので、耳を握るのはたいへん刺激の強い行為です。ギュッと力を入れて握った場合は血管が強く押さえつけられ、ウサギがパニックを起こす場合もあります。また、神経が集中しているので、耳を握られるとウサギはとても痛いと思いますよ」
と話す。同店ではウサギの正しい扱い方が分からない子供が耳をつかむことがあるそうだが、その際はスタッフが注意し正しい抱きかかえ方を説明しているという。
「抱っこをしないでください」
今回の写真が公開されたことを受け、のこのしまアイランドパークもすでに対応に乗り出している。同園の久保田晋平代表(55)は取材に対し、
「お客様から『悲しい気持ちになった』『注意喚起をして欲しい』との問い合わせが寄せられており、事態は把握しています。すでに、来園者に対してウサギを正しく扱うよう求めるポスターを制作しており、注意を呼び掛けています」
と話す。制作したポスターには、(1)耳やお腹を無造作に扱わないこと(2)抱っこをしないでください――といった注意点を列記したという。
久保田氏は続けて「スタッフが常駐して監視しているわけではないので、来園者には注意書きの内容を守って頂ければと思います。今後はウサギの頭をなでたり、エサを与えたりという形で触れ合って欲しいです」とも話していた。
なお、取材の終わりに久保田氏は、
「正直、こちら側としては今までウサギに指を噛まれないようにするなど、人の側に立った問題ばかりを考えてばかりいました。今回の騒動を受け、ウサギに対する配慮も徹底する必要があると気付かされた部分もあります。そうした意味では、言葉は悪いですが、今回の件が教訓になったとも考えています」
と話していた。