会社の固定電話で「心を病む人」が現れ始めている。そんな記事がネット上で注目を集めている。
知らない人からの電話に出るストレスに耐えられず、会社を辞めていく人が相次いでいるというのだ。家庭の固定電話「イエデン」が姿を消したため、会社でも、どう対応したらいいか分からず、誰からの電話か表示されるスマートフォンに慣れてしまったこともあいまってプレッシャーが大きくなっているという指摘に、共感する声が相次いでいるのだ。
「スマホなら出るけど固定はどうも...」
話題になっているのはニュースサイト「NIKKEI STYLE」が2017年6月15日に配信した「電話が嫌で辞める若者 上役への取り次ぎすら苦痛」という記事で、筆者はフリーアナウンサーの梶原しげるさん(66)だ。あるテレビ番組関係者が、かなり優秀なAD(アシスタントディレクター)が辞めたと嘆いていて、原因は「知らない人からの電話に出るストレスに耐えられない」と語ったとしている。ここ数年のうちに同じような理由で辞めて行った若者が何人もいて、それはテレビ業界に限らず、他の業種でも負けないほど多いのが現実だ、としている。
その原因は家庭で固定電話を使わなくなったからで、昔は親がしているのを見よう見まねで学習したものだが、その機会が失われ、スマホで誰からの電話なのか表示されるようになったことに慣れてしまったからだと説明している。
この記事が公開されると、インターネット上では、固定電話を使わなければ仕事にならないし、プレッシャーやストレスを感じて辞めて行くとしたらそもそもその人は会社に向かない人種ではないのか、など、固定電話を使えない人たちを疑問視する意見も出たが、ネット掲示板には、
「メールか直接会う場合はいいけれど、姿の見えない声だけのやり取りはもう発狂して受話器ぶん投げるぐらいに駄目」
「今の時代ならメールでいいだろ。伝達ミスもなく相手の時間を縛るわけでもなく楽でいいと思うがな」
「俺も正直電話嫌いだなぁ。スマホなら電話でるけど固定電話はどうもなー」
「会社の固定電話とか要らないんじゃない?携帯教えればいいのに、固定電話取り次ぐのめんどくさいんだよ」
など、固定電話が苦手だと主張する声が相次いだ。
「やったことがない事をやれといっても無理がある」
人事制度改革・コンサルティング会社セレブレイン社長の高城幸司さんにJ-CASTニュースが17年6月19日に話を聞いたところ、「会社の固定電話対応が嫌で辞めて行く新入社員がいてもおかしくないのが現状だ」と説明した。
高城さんによると、今の若者はメールで全てを伝える習性があり、友人同士はラインで交流している。従来型のコミュニケーションをしなくても生きていけるし、そのコミュニケーションの幅も限定された小さなものになっている。その結果、年齢が離れれば「異文化コミュニケーション」の様相になり、固定電話で相手の話を聞き上司に報告することはプレッシャーやストレスを感じてしまう。そのうえで、
「『やったことがない』事をやれといっても無理があるわけです。企業もやっとそれに気付いて、電話応対研修に力を入れるところが増えているんです」
と高城さんは話している。