「1強」だと言われ続けてきた安倍内閣の支持率に、ほころびが見えてきた。報道各社が週末(2017年6月17~18日、日経は16~18日)に行った世論調査では、総じて支持率は下落。全社で支持率が50%割れし、3社で支持率が10ポイント以上下落。中には不支持率が支持率を上回る社もあった。ただ、自民党や野党の支持率はほとんど変わらず、「自民1強」の状況は変わっていない。
各社調査の支持率がここまで下がるのは、安全保障関連法案の審議が行われていた15年夏以来だとみられる。その後安倍内閣の支持率は持ち直したが、今回の調査結果では、不支持の理由のトップが「首相が信頼できないから」(読売調査)。いわゆる「共謀罪」をめぐる強引な国会運営や、加計学園をめぐる対応が反発を招いたとみられるが、個別政策の是非よりも、説明を避けようとする安倍政権の体質が響いたとの指摘も出ている。仮にそうであれば、今後の支持率が持ち直すかは不透明だ。
3社で10ポイント以上の下落
「個別の政策の是非ではなく、政権そのものに対する不信感」
今週末回の世論調査は読売、朝日、毎日、日経の各新聞と共同通信、フジ産経サンケイグループ、ANN(テレビ朝日系)、NNN(日本テレビ系)の8社・グループ。このうち、最も高い支持率が出た読売新聞の調査でも、支持率は49%で前回5月調査と比べて12ポイント下落した。この下げ幅は12年12月の安倍政権発足以来最大で、支持率「50%割れ」は約1年ぶり。読売調査では、第2次安倍内閣発足から最も支持率が低かったのは15年9月の41%。当時に比べれば数字の上では「余裕」が残っているとも言えるが、読売記事では
「安保関連法成立当時に比べ、より深刻だと受け止める向きもある。『個別の政策の是非ではなく、政権そのものに対する不信感が背景にある』(政府筋)とみられるだめだ」
と指摘している。その背景には、内閣を支持しない理由のトップは「首相が信頼できないから」(48%)だったことがある。
読売以外にも、共同通信、毎日新聞の調査で支持率が「2ケタ10ポイント以上の減」。共同通信の調査でも、不支持で最も多い理由は「首相が信頼できない」の41.9%だった。毎日調査では支持36%に対して不支持44%で、不支持が支持を8ポイントも上回った。不支持の理由を聞く項目には首相の信頼度に関する選択肢はなく、「政策に期待できない」(51%)が最多だった。
朝日調査でも、支持率は41%で前回より6ポイント下がり、逆に不支持率は37%と6ポイント上がった。
民進、共産の「支持」はほとんど上向かず
菅義偉官房長官は6月19日午前の記者会見で、世論調査の結果について問われ、
「支持率は低いよりも高いほうがいいわけであり、その動きに一喜一憂すべきではない。国民のために真に必要な政策、このことをひとつひとつ的確に国民に説明させていただき、着実に進めていくことが大事だと思っている」
などと従来通りの答えを繰り返した。
内閣支持率は大きく下落したものの、自民党の支持は大きくは変化しておらず、野党の支持も伸びていない。読売調査では、自民党の支持率は前回比2ポイント減の41%。これに対して、民進党は1ポイント増の7%、共産党が1ポイント増の3%で、大きな変動は見られない。他社の調査結果も総じて同様の傾向で、野党の国会対応が必ずしも評価されていないことがうかがえる。