ハンバーガーなどともに日本でもすっかり定着したフライドポテトだが、こうした油で揚げたジャガイモ料理の摂取量が多くなると、早死にするリスクが高まるとする研究報告が米国で発表された。
特定の集団を追跡調査する、いわゆるコホート研究で集められたデータを解析したものだが、週2回以上食べていると、食べない人と比べてリスクは2倍になるという。
伊研究グループが米データ解析し発見
この研究を行ったのは、イタリア・ブレシア大学医学のルイジ・フォンターナ博士(生物老年学)らのグループ。2017年6月7日付で、臨床栄養学の米学術誌「アメリカン・ジャーナル・オブ・クリニカル・ニュートリション」に、その結果を報告する論文を発表した。
フォンターナ博士らの研究グループが使ったのは、米国立衛生研究所と企業により行われた、45~79歳の関節炎患者4440人を対象に8年間にわたり追跡調査。調査対象者からは、食事に関する詳細なアンケートやデータが集められており、研究でこれらを解析した。
4440人のうち236人が8年間の追跡期間中に亡くなっている。
研究グループは、調査対象者の週間のジャガイモ摂取をまとめ、さらに、ジャガイモが揚げたものか、別の調理法によるものかに分類した。
そうした分析作業の結果から研究グループは、フライドポテトやポテトチップス、ハッシュブラウンズ(ゆでたジャガイモを小さくカットするかつぶして揚げたもの)など油で揚げたジャガイモ料理を毎週2、3回食べている人は、食べない人たちに比べると、早死にリスクが2倍になることを発見。3回以上食べる人のリスクはさらに高くなった。
揚げてないものは関連なし
早死にリスクとの関連は揚げたジャガイモに限られており、揚げていないものとの関連は見いだせなかったという。また、全般的なジャガイモの摂取と死亡率との間に関連はみられなかった。このため、死亡率との関連では、揚げる油に含まれるトランス脂肪の関与の可能性などを指摘する意見もあるという。
今回の報告はデータを解析した結果であり、揚げたジャガイモの摂取が早死にリスクにどう影響しているのかについて確かな結論を得たものではない。研究者らは、この報告をステップに研究が深まることを期待しているとしている。
米国ではジャガイモは主食ともいえる存在。とくに油を使った加工品の消費は年を追って拡大しており、同国農務省によると、全体のジャガイモ消費に占める割合は1960年代に35%だったが、2000年代には64%にもなっている。
消費拡大につれて健康との関連について研究の対象となり、16年にも「1週間に4回以上摂取すると高血圧のリスクが高まる」ことを示す報告があった。
揚げたジャガイモをめぐる今回の論文では「研究で揚げたジャガイモ料理の高い頻度での摂取は、死亡率リスクを高める可能性につながることが示された。ジャガイモの摂取が死亡率を高めるのかどうかを確認するために、より多くのサンプルを集めた研究が待たれる」と述べている。