日本郵政が検討していた野村不動産ホールディングス(HD)の買収計画が難航している。
2017年6月18日付の日本経済新聞など複数のメディアが「白紙となる見通し」であることを報じた。5月中旬に買収計画が表面化して以降、野村不動産HDの株価が上昇。その後も株価は高止まりしたままで、金銭などの条件面で交渉が折り合わなかったとされる。
日本郵政は、2017年3月期連結決算で07年の民営化後、初めて最終赤字に転落した。2015年に買収したオーストラリアの物流子会社の業績低迷で約4000億円の損失を計上した影響だが、その買収戦略の失敗を投資家から批判されていた。
その巻き返しもあり、日本郵政は野村不動産HDを買収することで同社のノウハウを吸収。新たに、全国に2万件、しかもターミナル駅前などの一等地にある郵便局の土地・建物といった資産を有効活用する不動産事業で収益力を高める戦略を描いていた
。買収計画を断念せざるを得なくなったことで、日本郵政は戦略の練り直しを迫られることになる。