それでも「雇う」 その心は
一方、雇用者側にとっても壁は厚い。「企業様から『もし問題が起きたらそちらはどう責任を取るのか』という質問を受けることもあります」と同担当者は明かす。犯罪者を雇うことは、企業のレピュテーションリスクにも関わってくる問題だ。
法務省では、犯罪・非行者を雇用し立ち直りを助ける「協力雇用者」の登録を募っている。登録している企業は約15,000社と増加傾向にあるが、実際に雇っているのは2015年時点で788社と、約5%に過ぎない。業界なども建設業が約半分を占め、偏りが見られる。
業種のみならず企業規模にも偏りがあり、前の担当者は「人手が充足している大企業ではほとんど取組みはしていただけません。大半は中小企業です」と話す。
そんな中でも「雇いたい」と思う企業は、単なるビジネスのための労働力としてではなく、「人間力の向上」「社会貢献」という視点から人財を見ているようだ。「中には『むしろ普通のやつより根性がある』『育てがいがある』と言ってくれる企業様もいらっしゃいます。そういう寛大さ、優しさには、本当に頭が上がりません」と担当者は述べていた。