地銀のアパートローン急減速 金融庁が締め付け強める裏事情

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   ここ数年、地方銀行が力を入れて推進してきたアパートローンに、急ブレーキがかかってきた。

   日本銀行によると、国内銀行のアパートローンの新規融資額は2017年1~3月期に、前年同期比0.2%減の1兆508億円となった。新規融資が前年を下回ったのは14年10~12月期以来、約2年ぶりのことだ。

  • アパートの建設ラッシュは下火なのか……
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企業融資に代わる「儲け口」

   銀行のアパートローンの新規融資額は、2015年10~12月期から16年末まで5四半期連続で、前年同期比で2ケタの伸びを示していた。

   なかでも、地方銀行(地銀64行、第二地銀41行)の融資残高は17年3月末時点で前年比7.2%増の13.8兆円に膨らみ、2010年3月末の約8.8兆円から7年間で約5兆円も増え、日銀による統計開始(2009年)以降で最大となった。

   これに対して、大手銀行の融資残高はこの間に約2.4兆円減少し、総額8.6兆円にとどまる。地銀の積極姿勢が、いかに際立っているかがわかる。

   その背景には、2015年1月の税制改正で、相続税の課税対象が広がったことがある。アパートを建てることで、畑や更地にしておくよりも課税時の評価額を下げられるほか、相続財産から控除できる金額が縮小されたことで、これまで相続税を納める必要がなかった人も対象になった。それにより、税金を安くしようと借金をしてアパート経営に乗り出す人が増えた。これに地方銀行などが便乗。借り手が担保を持っている富裕層が多いことで、地銀が収益性を十分に考慮せずに安易に融資するケースもみられるという。

   とはいえ、地銀にも「台所事情」がある。人口減少など、地方経済は衰退に歯止めがかからない。企業向け融資は、貸し出し金利のダンピング合戦と、日銀によるマイナス金利の影響で預金と貸出金との利ザヤが一段と縮小するなど難しくなっており、収益確保に苦しんでいる。株式を上場する地銀82行の2017年3月期決算では全体の約8割が最終(当期)減益に陥った。

   収益力が低下するなか、地銀にとって相続税対策のアパートローンは、住宅ローンより金利が高めなこともあり、格好の「儲け口」となったわけだ。

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