ここ数年、日本国内でも確認されているデング熱の流行時期が近づいてきた。厚生労働省や国立感染症研究所は、ジカ熱やデング熱などの感染症対策として蚊に刺されないよう注意を呼びかけている。
蚊を防ぐうえで最もよく知られているのは、肌や衣服に吹きかけたり、蒸気で薬剤を散布する「虫よけ」だろう。室内はもちろん屋外に出るときも不可欠な虫よけだが、実は商品によっては人を刺す蚊への効果がないものもあるのだ。
蚊成虫が対象の防除用医薬部外品を
そもそも人がつかうもので「虫よけ」「蚊よけ」といった効果をうたうことができるのは医薬品医療機器等法(薬機法)上、医薬品や医薬部外品に限定されており化粧品などでこうした効果を謳うことは薬機法違反となる。衣服の上に吹きかけるスプレーやアロマなども同様だ。
そのため、虫が忌避する効果が確認された成分が含まれているかどうかを見分ける大きなポイントのひとつが、「防除用医薬部外品」という表示になる。蚊取り線香にはもちろん虫よけスプレーでも、有効成分を含むものはすべてこの表示がついている。
念を入れるなら、対象となっている虫が何なのかを確認しておこう。チェックすべきなのは商品の成分などが表示されている箇所に記されている対象となる虫で、ここに「蚊成虫」と書かれているかが重要だ。蚊成虫が対象となっていれば、ヤブカやイエカなど人を刺す蚊への効果があることを意味する。
一見虫よけの効果があるようにも見えるが防除用医薬部外品ではなく、虫よけや蚊よけとは明言していない商品も存在するが、こうした商品は対象となる虫にイエカやヤブカが含まれておらず、無害で不快なだけのユスリカなどが対象となっている場合がある。商品を購入する際、蚊に刺されたくないのであれば注意して確認しておきたい。
ちなみに、蚊取り線香や殺虫剤に含まれる「ピレスロイド」以外で、スプレーなどで人の肌や衣服に吹きかけて使うことが日本国内で認められている成分は「ディート」と「ピカリジン(イカリジンとも)」の2つ。いずれかが含まれているものを選ぶというのも目安になるだろう。
子どもに使ってもよい虫よけは?
ディートは厚生労働省や米国小児学会などが乳児に使用しないよう呼びかけ、12歳以下の小児でも1日1~3回までという使用制限を設けているため、子どもに虫よけスプレーなどの忌避剤を使用するのをためらう声もある。しかし、イカリジンには年齢制限は設けられておらず、2015年に発表された医薬品医療機器総合機構による審査報告でも副作用などは確認されていない。
「天然由来で安心」などとうたい、植物から抽出したユーカリ油を虫よけに使用すればよいとする情報がインターネット上などでは見られるが、米国疾病対策センターは3歳以下の幼児にユーカリ油が有害であり使用しないよう注意している。
虫よけを購入する際は、成分名と対象となる虫の種類をきちんと確認しておきたい。