「LINE」で会話後、5分でケンカを始める中学生
このように「キレる」ことにも意味があった思春期だが、スマホなどインターネット上のやりとりでは、思春期の過敏な脳に思わぬ事態が起こることもわかってきた。番組では、同じ中学に通う6人の子どもたちに、LINEで自由に会話をしてもらうという実験を行なった。どの子もこれまでネットでトラブルになったことはないという。子どものネットコミュニケーションを研究している静岡大学教育学部の塩田真吾准教授分析してもらった。
実験開始後、6人から次々とメッセージが送られてくる。驚くのはその速さ。「どこへ遊びに行くか」という話題で次々とメッセージが打ち込まれていく。会話開始から5分後、その速さについていけない男子が「ちょっとちょっと」と発言。この一言から会話の雰囲気が一変した。「もうちょい速く打てないの?」「は?」「なに?」。さらには「あんたのそういうところが嫌いなのよ」というスタンプまで。ここで1人の女子が仲裁に入った。
「1人で大勢を責めるとか卑怯すぎだろが」
すると、友達が「喧嘩売ってん?」「ゴミ以下ですね(スタンプ)」などと、その後も荒れた会話がエスカレート。ついには、仲裁に入った女の子が、
「ばーーーーーーーーかっ」
「この人たちに言ったってムダじゃん」
と発言。会話を始めて30分、ついにケンカになった。実験後、今回のやりとりを子どもたちに振り返ってもらうと、いつのまにか自分でも驚くほどキツイ言葉になったことに驚いたという。塩田准教授は、会話が荒れた原因はあまりにもスピードが速く、顔の見えないやりとりにあると指摘した。
塩田准教授「『これを送ったらどう思うだろう』と想像する前に、すぐ打たないと『空気が読めないヤツ』になってしまうと考えるのです。それが『いじり』から『いじめ』になり、深刻になってしまうのです。子どもたちのネットコミュニケーションは、仲間との絆は深まりますが、トラブルも起こりやすいのです」