迫る株主総会
だが、これに待ったをかけるのが経産省だ。「ブロードコムの実態はアメリカの半導体会社ではなく、買収を繰り返すシンガポールのファンド。四日市工場の人員もいずれリストラされるのではないか」という懸念があるからだ。経産省は当初から「技術流出を避け、四日市工場の生産と雇用が守られることが前提」と繰り返してきた。「2018年3月末の債務超過解消のため、それまでに売却を完了させ、かつできる限り高く売る」ことが目的の東芝にとって、経産省の横やりは迷惑な話だが、完全に無視もできない。
東芝は6月28日の定時株主総会までに優先交渉先を決定し、株主に報告したい意向だが、残された時間は短い。そうでなくても、独占禁止法の審査期間などを勘案すれば6月末がデッドラインとされる。銀行幹部は「株主総会までに交渉先が見えていないと総会が持たない」と危機感を募らせる。仮に6月中に決められなければ、その先に上場廃止も視野に入る。東芝の再建の行方を左右する局面は間もなくやってくる。