文科相「私に報告や相談をされた事実はない」
一方、かねてから文書は「本物」と主張していた前川氏は5月25日の会見で、「公平・公正であるべき行政がねじ曲げられた」という趣旨の発言をしていた。この点、松野文科相は文書の存在が明らかになった今回も「行政の過程でねじ曲げられたとは考えていない」と、「圧力」を否定した。
「事実関係として、前川氏の在職中に国家戦略特区について私に報告や相談をされた事実はない。私に上がってくる報告の中で、『前次官からこういう指示を受けている』というような報告も受けたことはない」
加えて、「大学設置申請は原則自由だが、様々な事由によって抑制されている」という前提のもと次のように話した。
「文科省が獣医師大学を抑制してきたのは理由がある。それは獣医師の需給全体に関わる問題で、これは農水省の判断がある。この問題がしっかりと内閣府と農林水産省の間で一定の結論が合意できなければ、文科省として設置認可の申請受付問題を新たに解消できない。これは一貫した姿勢であり、伝え続けていること。おそらく内閣府や農水省に聞いても、文科省の主張は一貫してそうだったという答えが返ってくると思う」
追加調査の結果発表日について、松野文科相は当初「可能な限り速やかに発表する」とするのみで具体的な日付に言及していなかったが、この6月15日は、「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法の採決を実施したのと同じ日。今国会の会期末が18日に迫る中、法務委員会の審議を打ち切って参院本会議採決に持ち込み、可決・成立させていた。
加計学園をめぐる文書については、山本幸三・地方創生相が15日、国家戦略特区を所管する内閣府でも追加調査を行う方針を示した。同日実施し、16日にも結果を発表する考えを表明している。