中期経営計画に注目
こう見てくると、オリエンタルランドの株価が上がる材料は見つけにくいが、実際の株価が上向きなのはなぜか。投資家が期待しているのは、開業から30年以上たってもなお将来の成長性が見込める点。足元で入場者数などが足踏みするのは織り込み済みということのようだ。
市場が注目したのは、オリエンタルランドが4月27日に決算と併せて発表した、2021年3月期までの中期経営計画だ。顧客満足度を高める狙いで、アトラクションの待ち時間短縮など混雑緩和などを図る。約2500億円を投資して入場者が分散できるようなアトラクションを新設するほか、屋外の行列が少しでも過ごしやすくなるような「屋根」をつけるなど施設改修にも乗り出す。特にトイレは重視しており、温水便座を導入し、数そのものを増やすという。
TDLでは、全体の10分の1の面積に相当する約4万7000平方メートルを使って「美女と野獣」をテーマにした新エリアのほか、屋内型の大型シアター、ミニーマウスの新施設などを設ける。2017年1月に閉鎖したゴーカートのような乗り物「グランドサーキット・レースウェイ」の跡地とその周辺を活用して2020年春までに約750億円をかけて建設する計画だ。TDSでもアトラクションを拡充し来場者分散を目指す。過去最大の投資で、「高い満足度を持った来場者数を恒常的に3000万人規模とする」狙いで、多くの投資家が好感している。
もちろん、工事が進む2020年までゲストをどうもてなすかは難問だ。ゲストが大きな不満を抱えて帰宅すれば口コミなどで広がり、取り返しがつかなくなるかもしれない。人手不足で年々キャストの採用が難しくなっていることも不安材料。この難局をどう乗り越えるか。期待高まるオリエンタルランドにとって、大きな宿題だ。