肺、腎臓、肝臓にも障害を起こす
1980年代にアイドルとして活躍した堀ちえみさん(50)は、状態がさらにひどい「重症急性すい炎」だった。当時を、2016年6月30日放送の「ヨソで言わんとい亭」(テレビ東京)で振り返っていた。
みぞおちと背中の痛み、消化不良とお腹が下る症状が出ていた堀さんだが、初めは市販の胃薬で対処しようとした。子どもたちを連れて3泊4日のグアム旅行に行き、帰国後に症状が悪化。夜になって病院に行き、すい炎だと分かった。
堀さんは、痛みを感じていたのに育児の忙しさもあってなかなか医療機関に足を運ばず、我慢したのが災いしたようだ。番組に出演していた医師の近藤惣一郎氏の見立てによると、すい臓が腫れあがっただけでなく、消化液が体内に染み出して他の臓器にもダメージを与え、その影響で風船のような水ぶくれができ、破裂して炎症を起こした、というものだった。実際に肺に深刻な影響が出て、一時は呼吸困難に陥ったという。
難病情報センターによると、すい臓だけでなく肺、腎臓、肝臓、消化管などの重要臓器にも障害を起こすものを「重症急性すい炎」と呼ぶ。10%の割合で命を落とし、厚生労働省の「特定疾患」に指定されている。
原因について、堀さんの口から「酒」は出てこなかった。代わりに、不規則な食生活や育児による多忙、強いストレスがあったという。実は、すい炎の原因でアルコール、胆石に続く3番目は「特定できないもの」で、16.7%に上る。明確な原因がないまま体にいろいろな負荷が蓄積されて、ある日突然爆発したのだろう。