2005年に兵庫県尼崎市のJR宝塚線(福知山線)が脱線し107人が死亡した事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本の歴代3社長について、最高裁判所第2小法廷(山本庸幸裁判長)は2017年6月12日付で検察官役の指定弁護士の上告を退ける決定をした。各メディアが報じた。これによって3人を無罪とした1、2審判決が確定する。
無罪が確定する歴代社長は、井手正敬元会長(82)、南谷昌二郎元会長(75)、垣内剛元社長(73)の3人。裁判では、現場の急カーブに自動列車停止装置(ATS)を設置させるべきだったかが争点となっていたが、1審と2審いずれも「具体的な事故の予見可能性はなかった」として3人を無罪としていた。
最高裁は、事故以前はカーブにATSを設置する義務がなかったことや社長が個別のカーブの危険性に関する情報に接する機会は乏しかったことなどを理由に、ATS整備を指示する注意義務はなかったと結論づけた。