違法サイトの実態を紹介するなどパソコン関連の「アンダーグラウンド」な情報を約20年にわたって紹介してきた月刊誌「Windows100%」(晋遊舎)が、2017年6月13日発売の通巻225号をもって休刊した。
インターネット草創期から一貫して、ネット上の「グレー」な動きに焦点を当て続けてきた。それだけにコアな読者も多く、ツイッターには「毎号買ってたのに」などと休刊を惜しむ声が相次いでいる。
「いいことも悪いことも勉強させてもらいました」
同誌は1996年7月に創刊準備号を発行。98年10月から月刊化し、以降19年以上にわたってネット上のアングラ情報を毎月発信していた。付録としてDVD-ROM(かつては2枚組CDだった)が同封されることも特徴だった。その中には、主に誌面で紹介したソフトなどが収録されていた。
ネット環境の発展と歩みを共にし、それぞれの時代に流行したコアなネット文化を独自の切り口で紹介してきた同誌。その最終号の表紙には、
「20年間ありがとう」
とのコピーが大きく書かれている。巻頭特集は「表と裏のWindows 20年史」で、同誌の記事と共にパソコンやネットの歴史を振り返る内容となっている。
そんな同誌の休刊を受け、ツイッターやネット掲示板には、
「いいことも悪いことも勉強させてもらいました。 ありがとう」
「パソコンにハマり、パソコンの仕事に就き、その間ずっと読んできた雑誌の最終号 20年史を見て、いろんな事を思い出して泣けてくる」
「高校時代からお世話になりました!ありがとう!」
「パソコンを導入し98SEを使いだしたと同時にお世話になったWindows100%が廃刊に?!もう寂しすぎて涙も出ない」
など惜しむ声や懐かしむ声が相次いでいる。
発行部数はピーク時の「3分の1」
「Windows100%」編集長は6月14日のJ-CASTニュースの取材に対し、休刊となった理由について「一つは、部数減ですね」と話す。ピーク期の2000年頃には約20万部だった発行部数が、ここ最近は3分の1程度まで落ち込んでいたという。
続けて、「『Windows100%』という媒体を通して伝えたい情報が少なくなってきたこともあります」とも話す。編集長は、
「例えば、Windows100%では個人が制作したPC用のフリーソフトを紹介する特集が人気でした。でも、最近はそうしたフリーソフトの作者が、スマホアプリの制作に移行するケースも目立っていて、雑誌で紹介できるような面白いソフトの数が減っていたんです」
として、ネット環境をめぐる「変化」も休刊の一因だとしていた。
今後、ウェブ媒体への移行や再刊の予定はあるのか。この点について編集長に聞くと、
「現状では、特に何も考えていません」
とのことだった。