ニューヨーク株式市場で2017年6月13日、「株価大暴落の予兆」と言われる株価のテクニカルなシグナル「ヒンデンブルグ・オーメン」が15年6月以来2年ぶり発生し、史上最高値の更新を続けるNYダウの先行きに暗雲が立ち込め始めている。
「ヒンデンブルグ・オーメン」は1995年に米国の盲目の物理数学者のジム・マイエッカ(Jim Miekka)氏が考案したと言われる。そのネーミングは、1937年5月6日に米国のニュージャージー州レイクハースト海軍飛行場で発生したドイツの飛行船「ヒンデンブルク号」の爆発・炎上事故に由来しており、オーメンとは「良くないことが起こる前兆」を表している。
パニック売りとなる可能性は41%
その発生条件には諸説あるが、
1.ニューヨーク証券取引所の52週高値更新銘柄と52週安値更新銘柄の数が共にその日の値上がり・値下がり銘柄合計数の2.8%以上
2.ニューヨーク証券取引所インデックスの値が50営業日前を上回っている
3.短期的な騰勢を示すマクラレンオシレーター(騰落統計数の平滑化された差に基づくモメンタム系指標)の値がマイナス
4.52週高値更新銘柄数が52週安値更新銘柄数の2倍を超えない
などが有力で、これらのシグナルが同日に発生した場合を指す。
ヒンデンブルグ・オーメンが発生すると、
1.77%の確率で株価は5%以上下落する
2.パニック売りとなる可能性は41%
3.主要銘柄は24%の確率で暴落する
とされているが、常に株価が大暴落するわけではない。
ヒンデンブルグ・オーメンが一度発生すると「呪いの期間」は30営業日と言われているものの、マクラレンオシレーターがプラスに転じると「呪いは解ける」ようだ。
1985年以降のNY株価暴落には、ヒンデンブルグ・オーメンが先行して発生していると言われるがすべてに当てはまるわけではない。ただ、現在のNY株は史上最高値を更新し続け、投資家に高値不安があるのも確か。利益確定売りが出やすい地合いとなっていることに間違いない。ヒンデンブルグ・オーメンが投資家の不安心理を呼び覚ます可能性は否定できない。
日本市場でも注目
日経平均株も2万円まで上昇、高値警戒感が出始めている。NY株が暴落すれば、日経平均も暴落する可能性は大きく、金融関連の専門サイトがヒンデンブルグ・オーメンに関するニュースを流しているほか、市場関係者の間でも注目度は高い。
6月14日の日本の投資家が集まるネット掲示板などには、
「あ~~~あ未来は暗いのかァ~・・・・」
「そうなの? なんだか雰囲気だけで上がっていたような気はしてたけど。そろそろ手じまいしないとね」
「撤収!!!www」
「一つの切っ掛けにはなる可能性はあるな」 「年内、いや早ければ10月頃に黒転するような気がします」
と、戦々恐々とする声が少なくない。
その一方で、
「去年も言ってたよな。でも、株を買おうと思う人はチャンスが来るから待てってことだな」
「今から売り始めとけってことだ」
「弱気な投資家がビビッて逃げ出すだけだろ。こっちはそれを買いまくるだけだわw」
「テクニカル分析は占いみたいなもんだからな。当たったらそれみたことか!!と声高に叫びハズレたら、え、なんのこと?まぁ確率100%とは言ってないですから、と」
「この手の暴落話は、出てから暴落するまでは1年ぐらい時間がかかるんだよなあ」
と、のんびり構えている投資家や、「チャンス」と受けとめている人も少なくないようだ。