カラダを温める食材、冷やす食材をバランスよく
こう聞くと、実証の人の方が虚証の人より健康的に思えるが、実は両者の中間の「中庸」(ちゅうよう)の人が一番健康的だという。漢方では何事もバランスが大事だ。
丁宗鐵さん「実証の人って、とても元気です。それが良くないのです。疲れを知らずに動き回り、徹夜もいとわない。だから疲れを感じる神経がちょっと鈍い。『実証の人は大病をしやすい』といわれています」
それはともかく、虚証の人はどのように体質改善すればいいのか。48歳の女性、黒川さんは典型的な虚証タイプだ。20代の頃の体重は50キロ台だったが、子育てや仕事に追われた30代後半から増加し現在74キロ。毎日の食事は野菜が中心で、バランスにも気をつけ、食べる量も決して多くないが太ってしまう。しかも、冷え性がひどく、疲れやすいので運動ができない。番組では、薬膳研究家の谷口ももよさんの協力を得て、黒川さんに薬膳で体質改善に取り組んでもらうことにした。
谷口さん「薬膳では、その人の体質改善に合った食材を選ぶことが大切です。冷え性の黒川さんには、カラダを温め、代謝を促すショウガとネギは毎日欠かさず食べてもらいます。シソとアジもカラダを温める食材です。お弁当のご飯には、むくみを取る黒豆を入れます。スパイシーなカレーにも温熱性の鶏肉を使うといいでしょう...」
黒川さんは、谷口さんに教わった薬膳の基本を取り入れ、毎日3食自分で料理した。そして4週間後、それまでどんなダイエットも成功しなかったのに、3.4キロの減量に成功した。薬膳を食生活に取り入れるポイントを、谷口さんはこう説明する。
谷口さん「薬膳は肉も魚もバランス良く食べることがとても大事で、特定の野菜だけを食べればいいということではありません。中庸が大事です。どちらかに自分の体質が偏っている場合、元に戻すような食べ物でバランスを整えるのです」